※静雄不憫注意報

深夜、子供の望も寝静まった頃。
隣の布団に横たわる臨也は、規則正しい寝息を立てていた。望はと言えば、隣の部屋で今は寝ている筈。
俺はのそりと布団から這い出して、臨也の布団へと近寄った。そのまま起きないのをいいことに、覆いかぶさり口付けをする。
やわらかに触れ合うだけのバードキスから、無意識のうちに開かれた口内へ舌を差し入れ中を荒らす、ぴくりと臨也が震えたのがわかりそれにまた興奮してしまった。
「…ん、んぅ、う…?っは、ぁ」
「臨也…」
「しず、ちゃ…?」
息苦しさからだろうか、臨也は目を覚ましうっすらと目を開けて焦点の定まらない瞳でこちらを見てくる。起床時にいきなり口づけをされていたことでどうやら相当息がまいっていたらしく、はぁと荒い息をついていた。赤く色づいた頬はとても色っぽい。
身をかがめて再び頬にちゅうとキスをしただけで臨也の素直な体は反応していて、それに笑ってしまいたくなった。そして今たまらなく、
「…したい」
お約束になってしまったこの言葉を口にすれば、臨也はまた?と呟いて諦めたように瞳を閉じる。俺はそれに甘えて、当然のように再びキスをした。やわらかい唇をじっくりと堪能した後、手を体に伸ばして奴の上着をめくろう。とした。
途端、
「いざやぁ…」
とんとん、と寝室の扉を叩く音が室内に響いた。
ぴしりと固まる俺と臨也。俺にいたっては恐らく青筋がたっているであろう。臨也は急に水をかけられたように目を開いて、慌てて俺の下から抜け出した。
この音の主は俺と臨也の息子、望である。声が少し震えていたので、恐らく寝ていたのだが目が覚めて恐くなったというところ。
不可抗力できたとはいえ、いくらなんでもタイミングが悪すぎる。少し火照ってしまったこの体をどう鎮めろというのだ、臨也に言えば「抜けば?」で終わらせられるだろうが。
扉をゆっくりと開いて中に光が入ってくる、望はパジャマの裾を押さえて俯いて立っていた。
「望、大丈夫?」
「いざや…ねむれない」
「そう…ほら、おいで」
臨也は目元を擦りながら望に手招きをする。俺と臨也の間の布団を軽く持ち上げてスペースを作り、そこに入るよう促していた。
そろそろとベッドの上に這い上がって、望はそのふわふわの布団に身をうずめる。艶やかな黒髪は明らかに臨也似で、今それは臨也の胸の内に収まっていた。つまり、望は臨也に抱きしめられていた。
大人気ないといわれるだろうが、正直羨ましい。嫉妬の念を抱いてしまう。
まぁこいつは子供だし、一応俺の血も引いているのだ。
そう思い無理やりこの状況に納得をいかせようとしたのだけれど。
「―――!?」
一瞬だけ、こちらを軽く振り向いた望は、俺を見てにやりと笑った。
かぁっと全身の血が頭にゆくのが分かる。そんな俺を見て、奴は「しずちゃんこわい…」と言って再び臨也にきつく抱きついた。
――――こいつ、確信犯だと…!?
俺と望の秘かな水面下での戦いが始まったのは、言うまでもない。


100616
リクエスト「シズイザ息子と静雄で臨也争奪戦」でした。
……あれ^^?もうちょっといちゃいちゃらぶらぶさせたかったのですが、何だか静雄が不憫なかんじになってしまい申し訳ないです…
結局子供の名前は考えた末に望になりました、すみません!
こんなものになってしまいましたが、素敵リクエストありがとうございました!
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