※ちょっと内容注意


カーテンから漏れる雨音で目が覚めた。
けだるい体を起こしてみれば、私は服を着ておらず纏っているのは白い布団だけ。反射的に顔に熱が集まり、再びベッドに横になり布団に頭まで包まれる。

昨日のことはぼんやりと覚えていた。
してしまったのだ。
それだけでもそれなりの衝撃だというのに、相手は静ちゃんではなく彼の弟さん。
しかもその行為は愛を確かめ合うなんてもんじゃなかった、ただの慰め。
今でもあまり思い出したくないような嫌なことが昨日あって、それを癒してもらうのに彼を利用したのだ、私は。
「………さいってー…」
何これ。私なんてことした。馬鹿、私の馬鹿。
いくら人間観察が好きな自分であるとはいえ、流石に罪悪感が芽生えるというものである、しかも自分から誘ったようなものであるが為により良心が痛い。
多分、だけれど。霧がかかったようにもやもやと輪郭の定まらない記憶を探れば、私も幽くんも初めてだった。それでも記憶に残っていたのは快感が殆どだった。
どうしていいかわからなくなって、布団に顔をうずめる。素肌に生ぬるい布団が擦れて徐々に瞼が下がった。

「臨美さん」

布団一枚を隔てた空間から綺麗な声が降ってきて、突然のことに身を震わせてしまう。幽くんの声。
記憶には薄くしかのこってなくても体は覚えているのだろう。どうしようもなく体が熱い。
「……寝てますか」
「…起きてる」
ここで寝たふりをしていてもいつかは起きなければならない、それだったらもうこの際起きてしまった方がよいと思ったのだ。一夜あけて出した声は少しかすれていて、そういえば目も少し腫れている。きっと泣いてしまったのだと思うと恥ずかしい。
「…顔、見せてください」
「………それはやだ」
「臨美さん」
「………」
「………」
「………う…」
沈黙に耐えかねて、涙や時間帯のせいで酷いことになっているであろう頭部を恐る恐る出していく。頭の上から徐々に布団を下げて行って、目元がぎりぎり出るくらいで動きを止めた。幽くんの顔が見える。彼はもう着替えていて、恐らく学校に行くのであろう、制服を着ていた。私はといえば自宅にいるにも関わらず休む気満々である。
「――ひゃ、」
少しだけ出た髪の毛をふわふわと撫でられて、額にキスをされて思わず声が出た。昨日散々味わった筈なのにまだこんな反応を返してしまう自分が無駄に純で笑いたくなる。
その様子を見た幽くんは瞳を細めて笑って、それからふと真面目な顔をして私の名前を呼んだ。
「臨美さん」
「なぁに」
先ほどまでと変わりない筈なのに硬さを持ったその声音に、彼が緊張しているということを感じた。対する私もそれに押されて顔をしっかりと出して話を聞く。
「……俺は、貴女が好きだから俺だけを見てほしかったんです」
「…うん」
「でも、昨日のことで意見が変わりました」
「………」
「俺は、兄さんの代役でもいい」
だから。
「俺と、付き合ってください」

頭の中を、静ちゃんとその彼女がよぎる。幸せそうに笑う二人。そして離れた場所に立つ私。
「――――――いいよ」
自暴自棄なんかじゃない。これは、私がちゃんと考えた結果なのだ。


100529
ちょっとアレな方向ですみません…;!!
てて展開が…orz
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