※臨美さんがもうどうしようもない
※内容が内容なので注意

「臨美、てんめえぇぇえぇぇッッ!!」
「あはははは、静ちゃんなぁにどうしたのー」
「手前また俺の机に納豆突っ込みやがったな!!」
「えーごめん何の話ぃ?てゆーかあれ、静ちゃん納豆好物じゃなかったっけぇ」
「ぶ っ 殺 す !!」

私、折原臨美は平和島静雄という男が大嫌いだ。
暴力の塊のような男で理屈も何もあったもんじゃない、こちらがどう言いくるめようとしても聞かないような男。
初めて見た時から胸の奥でうずうずとした感情が湧きあがってきて、それと共にどうしようもなくイラついたのを覚えている。
そして私が彼を嫌いなように彼も私のことが嫌いらしく、初対面で会った時から女だというにも関わらず殴りかけられてしまった。避けたにきまっているけど。
そういう出会いだったからか、気がつけば私と静ちゃんは周りからも犬猿の仲と言われており一度出会えば必ず何かが壊されるというジンクス的な何かさえ生まれていて。

そんなある日。
私がラブホテルから男と出てきた所を、見られてしまった。
さすがに制服は不味いと言われ適当な服を買ってもらっていたので制服ではなかったものの、さすがにばっちりと目があったのでばれただろう。すぐさま男の手を振り払って逃げてきたので、その場で直接追われるということには至らなかった。
先に言っておくが、別に私がお金が欲しくて誘ったわけではない。 ふらふらと夜道を歩いていると突然話を持ちかけられ、そのまま流れでホテルへと行ってしまっただけなのだ。
教師にチクられるか噂を流されるか。さまざまな状況を想定しそれぞれの対処法を考えてその日の夜は過ぎて行った。のだがそれはどうやら杞憂だったようで。
翌日、静ちゃんがわざわざ屋上でサボっている俺のところに来て言ったことはこの一言だった。
「体は大事にしろよ」
可哀そうなものを見るような眼で、言われた。
余りにも予想外すぎる言葉にぽかんと暫く呆けてしまって、彼が去った後も私は頭が何かに包まれたかのように動けない。
数分後、ようやく呪縛が解けたのか私は笑うことを止められなかった。
別にどうってことなかったのに、気持ちいいことをしてお金を貰えて。多少気持ち悪いとは思ったけれど示された金額に比べれば微々たるものなのに。
そして何より彼はいつも俺を殺そうと苦しめようとしてきていて、それなのに体は大事にしろ、だ?可笑しいにも程がある、矛盾しすぎた。
一通り笑った後に、私はぼんやりとこれから彼に売られるであろう喧嘩を浮かべて微笑んだ。そしてその過程を思い出して、少し嫌な気分に陥る。
―この前の総長さんは、少し用心深い人だったな。

 「…は、平和島静雄に喧嘩を売れ、だと?」
 「はい…駄目でしょうか。…勿論タダでとはいいません」
 「……いくらだ?」
 「    私の体  で、どうでしょう。」

嗚呼、君はこのことも知ったら俺をまた憐れんだ目で見るのだろうか。


100510
静ちゃん(を殺す)ために体を犠牲にする臨美ちゃん。
最低である(私が)。
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