※ギャグです
※読みづらいです、すみません


『メイド服とは、メイドの仕事着、またはそれを模して作られた女性用の衣装をさす俗称』---wikipediaより。
こうして引用をしてまで俺が言いたいのは、つまりメイド服が「女性用」の衣装であるということ。なので普通は男が着る必要はないということ。よって、今俺がこれを着なくてはならない義務じゃないということ。
それを目の前の女子共に分かりやすく、至って明確に俺の意見を話してみたのだが、ぎらぎらと目を光らせるこいつらに言葉はどうやら通じないようだった。

来神高文化祭。普段から殺伐とした酷い荒れ様の学校にも、やはり客は来ていて。どうやら今年は例年より人数が多いらしく、廊下には結構な数の人が俺のクラスの開店を待っている。
高校に入学して初めての文化祭で俺のクラスがやることになったのは、なんというかまぁお決まりというかお約束というか、男は執事服、女子はメイド服に身を包んだそのクラスの催しは、メイド喫茶と執事喫茶のまじったような少し特殊な喫茶店。さすがに衣装は皆で使いまわしし、経費を削減してあるのだが俺だけ休憩が昼食時間に15分しか貰えていないのはどういうことなのか。
ここまで力が入っているのは何故かというと、今年度から最も客数が多かったクラスに商品が出されるようなシステムになったのだ。最悪である。そのおかげで、俺はクラスのやつらに、こんな、
「折原くん超似合う!かわいいーっ!」
「いろ白いし細いし足綺麗だし、すごくいいよ…!」
メイド服なんて着せられているのだ。
俺の顔が整っていることは自分でもわかっているつもりだったが、まさかこうして女装して客引きに使われるとは思わなかった。畜生、他の男共は普通の執事服なのに。
クラスの女子に無理やり押し付けられ、剥かれる位なら自分で着る、と着てしまったそれは黒いエプロンドレス、俗に言うメイド服であり、丈も大分短い。これ少しでも動いたら見えるんじゃないのか。頭には無理やりつけられたヘッドドレスまであり揺れるとずれて邪魔だ。かつらだけは俺が必死の抵抗をしたおかげでいつものショートヘアである。
とうとうクラスの戸が開かれ、中に人が入ってくる。周りの奴らは既にぱたぱたと控室から出て注文を聞きに行っているし、俺もそろそろ行かなくてはならないようだ。正直ものすごく嫌だ。少しだけ本気で死にたい。
もう全てを諦め何も考えない様にして目をぎゅうとつぶり、注文でーす、と手をあげた客のもとへオーダーを取リに行った。
「え、あれ折原…?」
「は?まじで!?うわ似合いすぎだろあれ…」
周りの視線が痛い。あと聞こえてるから、似合うとかいうな気持ち悪いから殺したくなるから。とっとと帰ってしまいたいので大股で客の元へと行き、注文を聞こうとすると、え、
「うっわイザ兄超美脚ー!!」
「美(素敵)」
「って、何でお前らここにいんだよ!!!!」
ばしんと注文票を床にたたきつけた。周囲の視線が集まってくるようだが気にする余裕もない。何で、何で俺の妹たちがこんなところに。
マイルとクルリは二人して顔を合わせ笑い合うと、新羅さんが教えてくれたんだよーっ。よし新羅殺す。
ふつふつと殺意が湧きだすが、周囲のこともあるので妹とはいえ客に注文を聞かないわけにはいかない。スカートを押さえてしゃがんで注文票を拾い上げた。
「で、ご注文は?」
「イザ兄ひとつお持ち帰りで!」「兄」
「帰れ」

妹たちを無理やり追い出し、しかし休憩も貰えずにしばらく俺は働きづめだった。ようやく貰えた僅かな昼食時間。大きくダメージを受けた精神を癒すためにドタチンの横でもそもそとお握りを食べる。控えの教室には他に数人の生徒が食事をとっていて、たまに送られる好奇の視線にこれまた頭がくらくらとした。
「大丈夫か?」
「あー…結構だめ」
ドタチンにもたれかかり体を癒す。あぁもうドタチン癒される、このお父さん。
そのままこの時間が続けばよかったのに、時間の流れと言うのはとても残酷で、控室の扉が開いてクラスの女子に折原くーんと呼び出された。しぶしぶ立ち上がり出ていく際に周りのやつらからきた声援がとてもうざい。あと立ちしゃがみする際にスカートを抑えることに慣れてしまった自分がきもい。
教室へと戻った俺は、再び働かされる。時には何故か男にセクハラまがいのことをされることもあったが、その時は正当防衛という形でこの鬱憤を思い切りはらしてやった。
「おかえりなさいませー」
そうして働かされてから少し経った頃、教室の扉が開き独特のあいさつを受け付けの奴らがしたのでそっとそちらを向けば、げ、嘘。
最も会いたくなかった人物が、目を丸くして棒立ちしていた。
「し、静ちゃ…」
「…ノミ蟲?」
「あ、臨也!」
その後ろからひょいと出てきたのは眼鏡をかけた黒髪の男。新羅は俺の格好をみてあはっと笑った。
「どうしたのその格好!えらく似合ってるうごぁ!」
「新羅ァァア!!」
咄嗟に妹たちの時の恨みがよみがえり、新羅の元へ走って顎に下から一発食らわす。セルティと呟いて仰向けに倒れた新羅を見て、拍手を送った奴らが数名。いやなんで拍手。
ところであの眼鏡がいなくなれば今俺の正面にいるのは静ちゃん一人。静ちゃんは未だ頭が呆けているのか頬を少し赤くして、ちょっと何でそこ赤くなるとこじゃないんですけど!
「し、静ちゃん…?」
「あ、ぁ?」
「どうしたのぼーっとして…」
「え、あ いやこれはちが、」
「静雄は照れてるんだよねー」
いつの間にか復活したらしい新羅がよろよろと立ち上がり爆弾発言を落とす。は?何で照れるの?いやいやないないまさかないないない。やめてちょっと変なフラグ立てないで。
この後俺は新羅が静ちゃんにぶん殴られる様を想像したのだが、恐ろしいことにそれは外れて何と静ちゃんは真っ赤になっていた。嫌な予感が頭をかすめる。
「し、しず、」
「に」
「に…?」
に、何だろう。その嫌な予感を否定したくてわざと問うてみたのだけれど、どうやらそれは逆効果だったらしい。
小首を傾げた俺に余計真っ赤になった静ちゃんは、唇を震わせながらぷいとそっぽを向いて、ちょっとお願いすごく嫌な予感するからその先言わないで。まじでお願いだから、
「に、似合ってんぞ…」
「ほらあぁあああぁぁ!!!!」
突然叫んだ俺に静ちゃんは驚いたらしいが周りのやつらはそれがわかっていたかのように普通でいた。そりゃそうだろうこんなこと言われたら叫ばずにはいられない、いや嬉しいとかそういう意味ではなくむしろ逆の意味で。
「もうやだこのフラグ建築士!!変なフラグたてんなお願いだから!!」
「ふ、ふらぐ…?」
「静雄はたちが悪いからねぇ」
「新羅やめろその言い方何か俺がときめいたみたいだから!」
もうどうしようもなくなって精神がぼろぼろと崩壊する。思わず何もせずにしゃがみこむと、静ちゃんが慌てててめぇスカートなんだから、とか言って来て、あ 駄目だもう俺消えたい。

後日、俺の隠し撮り写真が出回っていたと聞いて、それに激怒した静ちゃんがまたフラグを完成させかけちゃって。校内中で話のネタとなっているその気色悪い噂に俺が悩まされるのは遠くない未来だった。最悪。


100502
え、えっと…あの、書いててすごく楽しかったです…。すみません、楽しすぎて読みやすさとか殆ど考えておりませんでした…(最低)ごめんなさい。
とりあえずミニスカメイドな臨也さんが書けたのでよかったです。幽を出せなかったのがすごく心残りなので、また続きとか書いてしまうかもしれないです、申し訳ありません…
書きなおし希望とかありましたら是非お願いします
素敵リクエストありがとうございました!

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