※多分ギャグです、ごめんなさい


ほこりと爆風を巻き上げて落下した自販機が地面と衝突する。
周りが一目散に逃げ出す中、すぐそばで鳴った轟音に臨美は煩そうに耳をふさいだ。
「静ちゃんさあ、いい加減物破壊すんのやめたら?」
「てめえが池袋に来なきゃいい話だろうがよぉ……」
方眉を下げて馬鹿にした笑いを浮かべる臨美とは対照的に、少し離れた場所から歩いてくる静雄は口元は笑ってはいるが目が完全に笑っていない。
臨美は改めて新しく標識を引っこ抜いている、世の物理法則を完全無視した目の前の男を見て諦めたようにため息をついた。そして同時に袖口からナイフを取り出す。
勢いよく腕を振った反動で折りたたみ式のナイフが開かれて、中から出た刃が陽の光にさらされた。
次の瞬間、臨美の顔のすぐ横を空き缶が通過する。空気が切り裂かれた音を聞いて、さすがの臨美も冷や汗を垂らした。
「いい加減にしなよ、しず、ちゃん!」
身をかがめてナイフを持って静雄に切りかかる臨美。その素早さに静雄はよけきれなかったようだったが、幸い被害にあったのは弟からもらったバーテン服だけのようで。
しかしそれがいけなかった。
「てめぇ…幽からもらった服を……」
彼にとって弟は大事な存在であり、普段から沸点の低い彼でも弟のこととなればそれは余計低くなる。彼の洋服を汚すということは、傍からしてみれば自殺行為に等しいのだ。
静雄は持っている標識を一旦近くのアスファルトに無理やり差し込み、先ほど自らがぶっ壊した自販機を蹴り潰す。中からいくつもの缶がごろごろと落ちてきた。
そのままそれをいくつも掴んだかと思うと、雪合戦でもするように、いや雪合戦というには投げるものと投げている人物があまりにも危険だが、臨美にむかって投げ始めた。
「おらあぁぁ!!」
「、わぁ!ちょっと!」
避けきった缶は無残にも遠く先の壁にあたりぐちゃぐちゃに破裂している。あれが当たったらと思うと臨美は青ざめ、びゅんびゅんと飛んでくる缶を避けることに集中した。
何故か顔付近には飛んでこないその缶を不思議に思いながらも、足元には容赦なく飛んでくるので半ばひきつった笑みを浮かべて臨美はぴょん、とはねた。
彼女の短いスカートがひらりと揺れる。
「ちょ、静ちゃ」
「…」
翻る。
「ストップ、ってば!」
「……」
舞う。
「しず「あぁぁぁぁうぜええぇぇえぇえぇ!!!!」えええええええ何が!?」
静雄は何かにキレたかのように急に叫んで、持っていた缶を放り投げ臨美の方へとつかつかと歩いてきた。それに対して臨美はまずい、と体を反転させて逃げようとするも腕を掴まれ捕獲。
「し、しずちゃん…ぶ!」
苦い顔をして慌てて振り返った臨美の顔が何かに覆われた。見れば黒いそれは、先ほどまで静雄が着ていたバーテン服の上着。
臨美は掴まれていない方の腕でかぶさった上着を持ち、不思議そうにこれをどうしろというのか、といった視線を静雄に送る。
「…巻け」
「…何に?」
「スカートにだよ」
「はぁ?」
「…てめぇが動く度にひらひらひらひら、うざってぇんだよこのクソ蟲!!」
静雄は最初は顔を赤く染めてばつが悪そうにぶつぶつと呟くように言っていたが、さいごには完全に開き直ったらしい、やけになった声で叫んでいた。
最初臨美はきょとんとしていたが、しばらくして意味を理解したのだろう。初めはくすくすと、そして次第にその笑い声は大きくなって最終的には腹を抱えて笑いだした。
「あ、ひゃはあはは!!!はっあははは…ひい、しずちゃ、超うける…!!」
「な、何だよ」
「こーれ」
ようやく腕を離され、その瞬間臨美はするりと体をよけて静雄から距離をとる。そして自らの両手でスカートの両端を掴み、そのままするすると上へ持ち上げて。
臨美の白い足があらわになっていく。
「の、臨美、てめ、」
「残念でしたしーずちゃん!」
完全にスカートめくりきった臨美の下半身には、短パンがはいてあった。
「……」
「あはははは!めくれることわかってんのに何もはかないとか、私そこまで男にはなりきれないかなぁ!」
「……臨美ぃいいいいぃ!!!!!」
「じゃーねー静ちゃん!」
その小馬鹿にしたような笑い声を聞きながら、静雄は一瞬でも彼女の心配をしてしまったことを激しく後悔した。


100507
スカートひらひらネタが書きたかっただけです。
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