小説 | ナノ

  後編


ある日の昼下がり
俺は珍しく非番で部屋でのんびりしていた、すると

「ザキ」
「お、沖田さん?どうしてここに」
「どうしてじゃねぇだろィ、お前が呼んだんだろ?」
「え?」

もちろん、俺にそんな覚えはない

「原田が山崎が話したいことがあるから、部屋に来てほしいって伝えろって言われたっていってた」

なるほど、原田の仕業か
暫くしてもなにもしてこないからてっきり忘れてるんだと思ってほっとしてたのに

「あーなるほど、すみません」
「なんで謝るんでィ」
「いや、余計な手間をかけさせてしまって」

それに、それだけの理由で沖田さんがわざわざ出向くのは珍しい

「そう思うなら、とっとと用件をいえ」
「…あの、俺はですね」

やっぱりいざとなると言えない
でも、約束しちゃったしな

「お前は?」
「す、好きな人がいるんですよ」
「…で?」
「それが誰かというとですね



───沖田さん、なんです」
「………は?」

そりゃそうだよな、普通の反応だ

「だから、俺は沖田さんが好きなんです」
「………」
「貴方の恋心、俺にくれませんか?」

あれ、顔が真っ赤になった
かわいいなぁ本当
ってか、そんな反応されると期待しちゃうんですけど

「あの、沖田さん?何か言ってくれないと困るのですが…」
「………おれも」
「へ?」
「だから、俺もお前の事がその…好きだって言ってんでィ!」

沖田さんが俺の事が好き?
え…好き、すき、スキ、…え

「え、ぇぇぇえ!」
「何をそんなに驚いてんでィ」
「いやだって…まさか受け入れてもらえるなんて思ってなかったもんですから」

これは夢なんじゃないだろうか、

「沖田さん、俺の事殴ってください」
「?じゃ遠慮なく」
「うぐっ」

沖田さんの容赦ない拳が俺の鳩尾に炸裂する
俺の事好きといってくれたのが嘘のように手加減のないパンチ、流石ドS
それに無茶苦茶痛かったから夢ではないようですし

「ごほっ、ごほっ。少し、は手加減、してくださいよ」
「わりーわりー」

全然詫びる気はないようだ、というか殴ってくってくれと言ったのは俺なんですけどね

まぁカッコ悪いとこ見せちゃったし
最後ぐらいカッコつけても良いですよね?

「沖田さん、」
「なんでィ」
「貴方の恋心、俺にください」
「…誰がジミーなんかにやるか!」
「わ、酷。さっき俺の事好きって言ってたじゃないですか!」
「確かに言った、でも心はあげないでさァ」

……やっぱり、本気ではないということだろうか
そりゃそうだ。
一人で浮かれてバカみたいだ…

「でも、」
「…?」
「お前の恋心くれるなら、考えてやっても良い…でさァ」

何言ってんだこの人、反則級に可愛いんだけど
このまま押し倒しても良いかな
…いやいや落ち着け山崎退、ものには順序というものがある
理性理性理性理性理性理性理性理性理(ry

「それで、十分です!ありがとうございます」
「…そんなこと言わなくたって、恋心なんざとっくに奪われてるんでさァ」
「へ?何か言いましたか」
「なんでもないでさァ」













貴方の恋心、俺にください。


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