初恋。
人の世界が180゚変わるなんて、あり得ない。
オレはずっとそう思って生きてきた。
いつもと変わらない景色、いつもと変わらない人々、いつもと変わらない友人、いつもと変わらない退屈な毎日。
「ほーら、席つけー」
銀八の気だるそうな声が響く。
また、いつもと変わらない一日が始まる…そう思っていた。
「今日は、転校生を紹介すっぞー、入れ」
ドアをガラガラと鳴らし入ってきたのは、きれいな栗色の髪に、碧眼に輝く瞳、女の子と見間違う程の美貌。
こんなに綺麗な人は今まで見たことがなかった。
「沖田総悟でさァ、よろしく」
そのときフト目があった。
それは一瞬の事、しかし、オレの世界が180゚変わるには十分な時間だった。
このときまでは確かに、人の世界が180゚変わるなんてこと、あり得ないと思っていたのだ。