貴方の恋心、俺にください。
好きです、沖田さん
好きなんです、どうしようもないくらい
今日はなぜか気持ちが沈み
いつもより酒に溺れてしまっていた
「原田ー」
「なんだ、山崎?」
「俺さ、沖田さんが好きなんだ」
あ、俺なんて事を
暴露してんだ
「ブッ!な、なに言ってんだ山崎!?」
「だから、沖田さんが好きなんだよ俺」
しかもご丁寧に返してるし
「マジで言ってんのかそれ」
マジではあるけど
「ったりまえだろ、嘘で好きな人なんか教えるか」
あぁ、頭で思ってることとは全然違うことが口から溢れ出す
「…で、なんでそれを俺に言うんだ」
「沖田さんには言えないし、でも最近気持ちを押さえるのが辛くて、溢れてしまいそうでさ、誰かに聞いてもらいたかったんだ」
そうか、俺はそんなに…
ってかなんで自分の言葉で
自分が気づいてんだおかしいだろ
「……そうか、でもなんで沖田さんには言えないんだ?気持ちを伝えるくらいは自由だろ」
「それぐらいわかるだろ、同姓から好かれても気持ち悪いだけで、軽蔑されるのが落ちだよ」
「沖田さんはそんな人じゃないと思うよ、なんだかんだ言っても、山崎の事嫌ってないし、むしろ好いてる方だろ」
「……そうじゃないんだよ、さっき言ったのは全部建前、本当は怖いだけだよ」
そう、俺はふられて傷つくのが怖いだけ
今までのように気軽に話しかけてくれなくなるのが怖いだけ
それなら、近くにいられるだけで良い
特別な存在じゃなくても
側にいられるだけで良い
「よし、俺が手伝ってやろう!
大丈夫、失恋しても慰めてやる」
「でも、」
そんな気持ちをよそに
原田が提案してきた
「んな告白する前から諦めんなよ、な」
「わかったよ、男は潔く在るべきだよな」
あぁまた俺何て事言ってんの
でもこんなに簡単に了承したってことは、俺も心のどこかでは気持ちを伝えたいと思っていたのかもしれない
「おうともよ!酔った勢いで言っただけってのはなしだかんな」
「わかってるよ」
そんなこんなで
俺は沖田さんに告白するはめになってしまったのだった