小説 | ナノ

  叶わぬのなら。2


※暗いよ
※たぶんBATEND



それから、ザキはよく俺に泣きついてくるようになった
理由はは相変わらず言わねぇ
ただただ、俺にしがみついて泣く
山崎のが、年上のはずなんですけどねィ


「…っぁ……ぉきた…さん」
「ほらほら、あんま泣くんじゃねェや。目、腫れやすぜィ」
「ぁ……ん…ずっ……」

今日もいつものように、山崎が来ていた
泣きたいのはこっちなんですけどねィ

「ザキ、いい加減理由を教えなせィ」
「…ごめ、なさ…ぃ」
「何がでィ」
「…土方さ…俺のせいで…っ」
「あれは、お前のせいじゃねェだろ」

あの日から数日後、土方さんは、結婚する。ということが発表された。
これは言わば、政略結婚のようなもの。
これで、真選組も安泰…。
とのことらしい。

「…おれのせいです。」

落ち着いてきたのか、ある程度普通に話す。

「俺は、知っていたんです。土方さんが結婚をせまわれていること、断ることもできたこと。」
「…っ」

衝撃だった。
でも、よく考えれば、当たり前のこと。
監察は、土方さん直属の部隊で、山崎はその筆頭なのだから。

「…返事をする日が、沖田さんに相談を受けた翌日だったことも。」
「だからなんだってんだ、土方さんが結婚したからって。それでどうしてお前がなくんでィ。もしかして、ザキは土方さんのことが好きだったんで?」

ザキはフルフルと首を横に振る。

「だったらどうしてだ」
「俺は、知っていたから。沖田さんが土方さんを好きだってことも。土方さんもまた同じように、沖田さんを好いていたことも」

これまた、衝撃だった。
俺の恋心なんて、誰にもばれてないと思ってた。
しかしそれより、

「土方さんが、俺を…?」
「はい、そうです。」
「仮にそうだったとしても、それが山崎がなく理由にはなんねェだろ?」
「…沖田さんは、憎くないんですか。」
「は?」
「俺は、知っていたんですよ?二人の気持ちを。なのに、俺は沖田さんの相談に、何て答えたか、忘れた訳じゃないでしょう?」

『伝えない方がいいと思います。』

確かに、ザキはそういった。

「でもそれは単に真選組が大事だったんだろ?」

だったら正しい判断だ。
ならなぜ泣く?


「わからない、ですか」
「…違うのかィ?」
「はい。俺はアンタが思ってるほど、いい人じゃないんです。たいした人間じゃないんです。」

ますますわからない。
いったい何が言いたい。

「まだわからないですか。ならわかるように言います。俺は、アンタが好きだ。だから二人が結ばれてほしくなかった。…そんなことしたって報われないどころか、もっと辛くなるだけだってことわかってたのに。俺だって好きな人の幸せを願いたかったのに。」
「それで泣きついてきたと」
「はい。すみません。」

そりゃちょっと凹むわ。
自分のせいで、好いている相手が、不幸になったら辛いさ、だがなぜ泣く?

「その涙は俺を哀れんでるんで?それともテメェを?」
「…後者です。俺は結局、アンタの幸せを心から願えなかった、自分のことしか考えていなかった。」
「……。」
「軽蔑しましたよね。…今後はできるだけアンタに関わらないようにします。サヨナラ」

ザキが思うまま、って感じだねィ
それは俺の性に合わないでさァ

「…待ちなせィ」
「なんでしょう」
「お前そんなんて許されると思ったんですかィ」
「思いませんが、関わらない方がいいでしょう」
「俺に抱かれろよ。」
「…は?」
「はは、いい面ですぜィ。可愛がってあげますぜィ?お前が壊れるまでな」

はは、これじゃまるで壊れてるのは、俺の方じゃないか。
だがもう遅い。

これから、
俺たちは闇に落ちていく。


 どこまでも、
    どこまでも───。




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