うちの兄ちゃん03 | ナノ






03



「あぁー、そろそろ動けそう.....」
軽いけどだるい身体を起こし、後処理に向かう。

「あ、寝ちゃってるし」
涙を目じりに溜めた兄ちゃんは、力尽きたように眠りこけている。
「無理させちゃったかな」

既に力が入っていない、腕のネクタイを外す。
足もそうだが、長時間拘束された腕はくっきりと、線が残り痛々しい。
「薬あったけ」

下へお絞りを取りに行くついでに、薬を取りに服を着て、1階へ降りる。
まだ母さんは起きているようで、電気がこうこうと点けられている。

風呂場へと、桶とタオルを取りに向かった。
「あれ、和佳。どうしたの?さっき」
「......え、え?なにが?」
冷や汗がだくだくと流れる。
心臓は激しく鼓動をする。
「なにか、佳和がうなされていたみたいだったから...」

「そ!そう!たまに起こしたりしたんだけど、ずーっとうなされてて」
一刻も早く逃げたい気持ちを抑え、母さんに訴えた。
「それで!汗すごいからさ!拭いてあげようと思って!!」
「そう、おねがいね」
「う、うん」

なんとか誤魔化せた。
足早にリビングを去る。

部屋に入ると、裸という奇妙な格好をした兄ちゃんが横たわっている。
なんて事したんだろ。と思い返すが、変えられない事実。

「あ!!薬!!!」
取り忘れた事に気づくが、もうあそこには行きたくなんてなく、
部屋にあった適当なクリームですませようと考えた。

綺麗に隅々まで拭き取ってやると、クリームを傷口に塗った。

「はぁー疲れたぁー」
片付けは明日で良いか。とすやすや眠る兄ちゃんの横で、眠りについた。






.......さ、がさ。
「....んんー、.....兄ちゃん、何やってんの」
ヒクっと肩を震わす兄ちゃん。

ちゃっかり、少し大きい俺の服を着ている兄ちゃん。
布団から起き上がると、ビクつく兄ちゃんの腕を引っ張りベッドに押し倒す。
「かず、よし?.....」
不安げに眉を下げる。

「はい、話あるんじゃないの?終わった後の約束だったのにさ、寝ちゃうんだもん」
「な.....ない!!!」
精一杯、腕を振りほどこうとするが、動くはずが無い。
力弱いのだから。

すると、兄ちゃんは、昨夜のように涙を溜めた。
「また泣く.....」
「泣いてない!!」
力任せに拭うもんだから、目は赤く腫れる。

しょうがないから解放してあげると、脱兎のごとく抜け出し、荷物を抱きかかえる。
「帰っちゃうの?」
「帰る!!!」
昨夜の出来ごとで、あしがおぼつかず、のろのろと部屋を動く。

「じゃぁさ兄ちゃんはさ、昨日、気持ちよくなかった?」
「なっ...」
「気持ちよくなかった?それなら行っていいよ。もう話しかけもしない」
壁に押さえつけ、詰め行った。

「................きもち、よかった」
「んじゃ、はなさない」

緩く抵抗する兄ちゃんに、優しくキスする。



「だーいすき、兄ちゃん」



前←



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -