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「....って、おいあんった.....ば、鹿な事言ってねぇで黙ってろ」
俯きぎみに頬を染める俺に気が付いたのか、上手く断れば俺も初めての男への恋をスッパリ諦められたかもしれないのに。
馬鹿と言っているコガネが心なしか紅いのに気が付いてしまった俺は、更に燃える。
「それよりあんた、高い所駄目なのか?」
「んー、兄貴の肩車がトラウマで.....」
イジイジ髪を弄ぶ。
コガネは俺の兄貴に興味を持った様子。
「何で肩車?」
「えーっと。......兄貴に担がれて遊んでたら、.......急に走りやがってよ!!頭から落ちた。って経験が、な......」
悲痛な思い出に青ざめる。
「おっ!着いたみたいだぜ」
「っしょっと」
島の一角の砂浜に踏み入る。
磯の香りが鼻腔を擽る。
「な、なぁ。俺武器とか何にもないけど.....」
「.....何か打開できる戦法でも考えとけ」
俺の切実的で現実的な悩みにコガネは冗談で応答。
テレビの画面で見る美しい景色とは裏腹に、この島付近の海は黒ずみ底知れない。
砂浜もとにかくゴミだらけで、汚い。
「う、動くなー!!!!」
「ん?」
子鬼らしい物体。
紅くて堅そうな肌。
可愛いなぁ、と思ったのも束の間、子鬼の仲間らしいのが現れた。
背なんて俺の倍近くある。
「お前等、動くんじゃないぞ。
おい!!誰か桃太郎親分を呼んでこい!!」
......桃太郎?
「コガネ、今桃太郎って言ったよな」
肩まで登ってきたコガネに確認する。
「あぁ」
やっぱりそうだ、ここに桃太郎がいる。
「どうした、騒がしいな」