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またかわされた.....。

2度も相手にされなくしょぼくれる。


「桃太郎、殺されたくなかったら、
 さっさと格好直して宝持って村に帰れ」
「わわ、わかりました...」

俺が落ち込んでもコガネは仕事をこなす。
なんだよ、と不貞腐れるが
「ほら、立てよ」
と笑顔で迎えられ、さっきの落ちぶり何て忘れ、しつこく生きようと決める。



「赤鬼!青鬼!」
桃太郎は偉そうに二鬼呼び出す。

「俺は村に帰る!すぐに島にあるありったけの宝を集めてこい!」
「何故です!!」
「俺はこの方達に真剣勝負で負けた!!分かったら行け!!」

オニには相変わらずの強がりっぷり。
けど恐る恐るコガネの顔色を伺う桃太郎は、
ニコリと愛想笑いを投げつけるコガネに涙目に恐れる。

いつまでもコガネは桃太郎に笑顔を絶やさない。
流石に桃太郎の怯えが可哀想。
けどあんな事言ったから悪いんだ。

真剣勝負で負けた!なんて言ったから.....。
「だぁれが真剣勝負だ。がくがく震えてただけだろうが」
「ははっ」
けどこんなにも長い時間人になっててくれるのは桃太郎のお蔭だし。
カッコいいコガネが見れる!!ありがとう、桃太郎!



「失礼します!ありったけの宝を集めて参りました!!」
威勢と態度のいいオニ達は、手際よく品々を説明しだす。

「あらゆる鉱石、金銀銅!これで金銭には困りません!!」
「各村から奪った食料です!長持ちするので安心です!!」
現実的な考えに感嘆する。

「これ、」
ふと目に入る筒のような物。
「あ、それは宝の在り処を示す巻物です。
 確か....“何でも治る!妙薬・秘薬!!”...と貰った老人に言われました!!」

「あ、あ!俺貰う!!それくれ!!」
「なんだ急に」






「ありがとうね、ふたりとも」
「いいよ、別に。じゃぁーな」


「あ、本!どうなった?!」



村を出た桃太郎は見事オニを倒し帰って来た。

オジイサンとオバアサンは、桃太郎の無事な姿を見て大喜び。
そして三人は、宝物のおかげでしあわせにくらしました。


「なぁ、最後は元通りだけどさ、初めのほうの桃太郎の荒れてた話のところはどうなるんだ?」
「それは大丈夫だろうな」
「なんで」
「村に鬼の仕業だって広めたんだ。後々伝わる話もそうなるだろ」
「あぁ」


本を閉じるとコガネは止まる。
「あれで帰れるのか?」
「そうだな」
俺は扉を、開いた。











「おぉーきよチャンお帰り」
呑気に煙草を吹かすオッサン。
行く前と然程変わらない風景。
「どうだったか?日帰り旅行は」
げらげら笑うオッサン。

どうやら別次元の世界では、何日居ようが何年居ようが、ここではその日の出来事にしかならないようだ。

「便利だろー。仕事し放題だ!」
げらげら笑うオッサン。


この仕事は、余り続かなそうだ。



  


        END





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