【愛しい君へ】
愛ゆえだよ、……なんて、僕にとっては簡単な言葉で、軽々しく口に出来る類のものだった。なのに、それをさらりと言ってのけてみると、君は真っ赤になった。 それで改めて認識する。 君にとって『愛』は、大切で、特別な意味を持つ言葉なんだ。 だから軽く言う僕を信用しきらないんだろうなぁ。 なんてぼんやり分析していると、君は少しすねたような顔になった。 軽く言ってんだろうけど、とかぶつぶつ文句を言っている。 ……わかりやすくて好きだよ、そういうところ。 微笑んで、名を呼ぶ。 逸らされていた視線が僕を捕らえて、なに、と問うてきた。 そっと両手を伸ばして、頬を包み込むように触れる。 怪訝そうな表情を見せるから、予想通り過ぎて思わず笑った。
愛しい君へ、心の底からの言葉を。
「本当の本気で、好きなんだよ?」
また赤くなる君に、そっと口付けた。
了
あーもう甘い。
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