【愛しい君を】
初めて見る表情は、僕を満たしてくれる。 そう思い込んでいたのはなんでなんだろう。 それが、自分がさせている表情だからこそ価値があるのであって。他人によって作り出された、そんな綺麗な笑顔は、酷く腹立たしいだけ、だった。 「――、」 名を呼ぼうとしたけれど、唇がわずかに震えただけだった。 自分を抱きしめるようにして、震えを押さえつける。 不意に、ポケットの中に入ったままだったカッターの存在を、思い出した。 狂気が、騒いだ。
愛しい君を、独占したいと、喚き立てる。
「君は、ボクのもの、だよ。」
カチカチ、そんな音と共に、歩き出した。
了
ヤンデレすみません!ww
- 2 -
_
|