【愛しい君に】


そっと差し出された花に、きょとんとした表情で首を傾げる君が子供っぽくて、くすくすと笑いながら、君にあげるよ、そう言って、柔らかい髪にそっと挿した。
嗚呼、やっぱりよく似合う。
そう言ってあげると、とてもきれいな笑顔で、有難う、と言われた。
普段子供っぽい君が、珍しく、あんまり綺麗に笑うから、うっかりこっちが照れた。
うう、不覚。
赤面を隠そうと口元を手で覆い、顔を逸らした。
その様子を怪訝に思ったのか、どうしたの?と、また首を傾げる君。
嗚呼もう可愛いな、なんて思って、だいぶ侵されている自分に気づく。
仕方ない、仕方ないんだ、君があんまり可愛いのが悪いんだ。
そんな風に言い訳して、問いに答えるべく、ゆっくり息を吸い込んだ。

愛しい君に、少しだけ素直に。

「やっぱ好きだなあ、って思っただけ。」

真っ赤になった君の額に、キスを落とした。




甘いよ砂はけるよ。



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