何日も降り続いていた雨が、昨日ようやく止んだ。さすがにあの大雨の中での訓練はまだ新米の俺達には危険度が高すぎたのか、ここ最近はずっと屋内での筋トレだった。
ミカサやライナーの筋肉がまた一段と鍛えられていた気がする。
俺はと言えば、アルミンと組んでそれはもう死に物狂いで腹筋を繰り返していたのだが、そんな俺の隣で汗一つかかずに悠々と腹筋を続けているサムエルに軽く心を折られかけた。
みんなすごいね、なんて言ってアルミンは笑っていたけど。気合いだけで言うなら、アルミンだってすごいと思う。
そんなこんなで、昨日一日は筋肉痛と戦いながらの立体機動術。そして今日は大分体が軽くなってからの格闘訓練だった。
本日の相手はアニだ。
…何故アニと組んでしまったのかは俺自身もわからない。強い相手との訓練は挑むところではあるのだが、強すぎる相手との対戦は挑戦ではなくただの無謀だ。
向かっては転がされ、立ち上がっては沈められ。体が宙に浮いたかと思えば、ひっくり返った状態で自分の太股が目の前に迫っていた。
軽くではなく凹んだが、以前同じ体勢で転がっていたエレンとライナーと慰めあった。アニ強いよな。仕方ないよな。
そうしてボロボロになりながらも訓練が終わり、宿舎に戻っていたのだけれど。
ふと目が合ったジャンが、こちらへ向かってやってきた。


「お前、泥ついてるぞ」


不意に伸ばされた手が、額に触れる。
ぐい、とそのまま泥とやらを拭われて、何故だかとても恥ずかしい感覚に陥った。


「さ、触るなよ、自分でとれる!」

「気付きもしねー奴に言われてもな」

「必死だったんだよ…!」

「あぁ。見てたから知ってる」

「み、見っ…!?」


見られていたのか…!
あの無様な姿を…!!
せめてこう、もっとさ!
あるだろ!?かっこいいシーンが!


「なに赤くなってんだよ、ナナシ」

「ほっといてくれ…!」

「ははっ」


笑うジャンが恨めしい。
最初の頃は流していたくせに、エレンに影響されたのか、この頃は対人格闘も真剣に取り組んでいるようだった。
ジャンもいつかアニにやられるといい。


「…なぁ、ジャン」

「なんだ?」

「その…だな。時間があったらでいいんだが…」

「あ?」

「立体起動のコツを教えてくれないか?すげぇ上手いんだろ、お前。マルコから聞いた」

「あ、あぁ…別にいいけどよ」

「…?なにどもってるんだ?」

「うるせぇな、なんでもねーよ」


ふい、とそっぽを向かれる。
なんだか良くわからないが、返事は確かに聞いたぞ、ジャン。
思い切って頼んでみて良かった。

絶対に10位以内に入って、いつかお前も追い抜いてやる。決意も新たに、俺は宿舎への足取りを早めた。


***

ツンデレられておりますでしょうか…!?なにかが違う感じしかしません…!m(__)m
すみません、精一杯書かせていただきました!
暁兎さま、リクエスト有り難うございました!(*^^*)


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