DTB×SNGK | ナノ


 03


今時、馬…?
接近するその姿には勿論気付いていた。遠くから二人。いや二頭?
狩猟民族かなにかだろうか?その割にはカッチリとした制服のようなものを身に纏っている。武器らしきものも、原始的な槍ではない。

どうやら俺か、俺の下の巨人を狙っているようだが…不用意に近付いてくるあたり、契約者ではないようだ。
ようやく普通の人間を見付けた。

だが、人と巨人。
この場合どちらに付けばいいのだろうか?
ここまで快適に乗せてきてもらった恩もある。が、やはり話せなければどうにもならない。
情報を得るためには人か?

…あちら次第なのかもしれない。
目付きの悪い男が、じっと俺を睨んできていた。
ただの人間が、俺相手に、殺気を。
久しくない事だった。
最近はどいつもこいつも逃げ出すばかり。契約者がそんなに恐ろしいのだろうか?感情を持ちながら他者を殺せるただの人間のほうが余程…そう思った回数も少なくはない。

所詮俺達はいいように利用されるだけなのだ。使い捨て。ただの駒。

決めた。立ち上がり、下の巨人に力をかける。重く、重く。
膝から崩れ落ちる巨人。
もっと。
まだ。
あと少し。

巨人が手を付き地面に押し付けられていく。
ぐぐぐ、と、立ち上がろうともがく様子を見下ろしながら、俺は二人の人間の動向を窺った。

突如として歩みを止め、倒れ伏した巨人に驚いているようだったが、男の動きは迅速だった。
バシュ、と何かが撃ち出され、それが巨人のうなじに刺さる。
ワイヤーだ。ブーツで地面を削りながら接近してきた男が、その両手に握った見たこともない刃で、うなじの肉を削ぎ取った。

ワイヤーを巻き取る事で移動しているのか。BK201と似ているようでまるで違う。死神はここまで体に負担のかかる動きはしていないだろう。

どういう訳か、巨人は殺されると体が蒸発するらしい。
食わないのか。狩りは狩りでも討伐だったようだ。
蒸気に巻き込まれる前に、飛び降りる。

この二人の狩りの相手は巨人だけのようだった。
さあ、これからどうしようか?




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