お正月企画 | ナノ


▼ 分隊長主の部下男主で、たまに突然大きくボケる分隊長主に苦労している所をリヴァイに労われる話

リヴァイ視点

見覚えのある黒髪が、呆然と立ち尽くしている。
ナナシの部下の、ナマエだ。
簡潔すぎる──と言うよりは、全体的に言葉数の少ないアイツの意図を上手く汲み取り、良く働いている。

中性的な顔立ちは親しみやすさも湧くようで、ナナシへの伝言や書類の受け渡しなど、同期や後輩を問わずナマエを頼る者も多いようだった。

無関心がデフォルトのような奴だ。
最近変わってきてはいるようだが、親しい相手以外にはそもそも滅多に口を開く事のないナナシに、自ら声を掛けられる者は少ない。
ハンジを止めるモブリット。あの二人が一組であるように、孤立しがちなナナシにはナマエが必要だった。

俺から見ても決して相性は悪くないようだったが、たまにこうして立ち尽くしている姿を見る事があった。
一体今度は何をしたのか。


「ナマエ」


呼ぶと、ハッとしたように振り返ってきた。
……すがるような眼差しに見えるのは気のせいか?


「リヴァイ兵長。すみません、ナナシ分隊長を見掛けませんでしたか?」

「いや、見てねぇが」

「そうですか……」


声のトーンが一段、下がった。
こうまであからさまな落胆は、珍しい。
先程まで立ち尽くしていた所から考えても、アイツが立ち寄りそうな場所は既に探し終えた後なのだろう。
一体どこに…と呟くナマエからは、悲壮感すら漂ってきている。


「………おい」


見ていられない、と思ったのは。
アイツの突飛な言動に、自分も悩まされる事があったから、なのかもしれない。
面倒事を起こすのはいつもあのクソメガネだ。周囲もそう思っている。
だが、本当に面倒なのは、ナナシの方だった。あいつはいつも、突然ボケる。


「お前がそこまで気に病む必要はねぇだろう」

「え……?」

「俺も探してやる。だから、そう落ち込むな」

「リヴァイ兵長……」


みるみる内に、ナマエの目が見開かれていく。
意外そうな響きを含む声ではあったものの、その黒色の瞳には輝きが戻りつつあった。

そもそもはナナシの責任だ。
部下に苦労をかけてどうする。
普段あまり共感を得られない苦労なためか、親近感を感じてしまったのかもしれない。このまま見捨てる事は出来そうになかった。

だが、ナマエが探しても見付からない場所となると、どこだ。


「クソでも長引いて篭ってるんじゃねぇだろうな」

「そこはまだ探していませんでした……突入しますか」


一体、何の聞き間違いかと。
固まってしまった自覚はあった。
至極真剣な表情でそんな事を口にしたナマエは、俺の反応を見てすぐ、その相好を崩している。


「すみません、冗談です」

「……今度モブリットと一緒に休みを取れ。お前らには休息が必要だ」


ナマエの部下なだけはある。
そんな関心をしたのも一瞬だ。
こいつらが休んだ間の馬鹿二人の面倒は誰が見るか、なんて問題はエルヴィンに任せりゃいいだろう。

取り敢えずは。
ナナシを探して削ぐ事から始めよう。



***


黒髪黒眼ちょっと爽やかなナナバ的中性系の男主、という事で、外見の描写を初めて入れてみたのですが表現……できておりますでしょうか……!?
アキさま、リクエスト有難うございました!


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