お正月企画 | ナノ


▼ 可愛い妹が居てシスコン気味な分隊長主を見た104期生と大人組の話

アルミン視点→ハンジ視点

ナナシ分隊長が、ぐしゃぐしゃと、頭を撫でている。
とても親しげに。
撫でられている女子も、嬉しそうに笑っていた。可愛らしい顔立ちのその女の子は見たことのない相手だったけれど、僕らとそう歳は変わらないように思えた。


「アルミン、あれはナナシ分隊長で間違いない?」

「うん、分隊長だよね。相手は誰だろ?」


ミカサも見ていたらしい。
普段の、ともすれば冷たく見える雰囲気とはまるで違う。
ただ優しげな。そんな表情だ。


「妹だろ」

「ジャン、知ってるの?」

「俺達の同期だ。訓練所は違ったらしいが、兵団の中で会った事がある」

「可愛いよなー。俺もあんな妹が欲しかったぜ」

「コニーにも妹がいるんだっけ?」

「おう。つっても、いっつも喧嘩ばっかしてたけどな」


エレンとミカサを兄妹と言っていいのかはわからないけれど…
ミカサがエレンの世話をして、エレンがそれを突っぱねる。本気で嫌がっているわけではない。そこまでがワンセットのようなものだ。
ずっと続いてきたその関係は、確かに家族としての繋がりだった。僕には入れない、二人の絆だ。

けれど、それを目にしてきた僕でさえ、ナナシ分隊長と妹さんの様子は、特別親しげで、仲が良いように思えた。
いや、良すぎる、とも言えるかもしれない。


「あんな兄貴なら俺も欲しかったぜ」

「なぁジャン、それは俺に言ってるのか?」

「あ?いや、別にそういう意味じゃねぇよ」


妹…とミカサが呟いている。じっと分隊長を見つめる瞳は少しだけ羨ましそうなものではあったけれど、ミカサが何を考えているのかまでは僕には分からなかった。


***


「またやってるね」


その一言だけで、誰の事だか分かったらしい。放っておけ、と冷たい言葉がリヴァイから返ってくる。
ナナシの妹。その存在は、私達みんなが知っていた。というか、見せ付けられてきた。挨拶をして貰った事もあるが、正直、その内容よりもナナシの様子に唖然とした事しか覚えていない。


「可愛いのはわかるんだけどさ……私は心配なんだよ」

「彼女にもしもの事があった場合、ナナシがどうなるかわからないからな」


ミケが、ズバリとその心配を言葉にしてくれた。
もしもの場合。
考えたくない事ではあるけれど、あり得ない事ではなかった。
私達はいつも、死と隣り合わせだ。

……そう言えば、ミケがいつものように匂いを嗅ぎに行こうとしたのを止めてもいたっけ。あの時のナナシの目は本気だった。


「その可愛い妹に彼氏が出来た場合、ナナシはどうすると思う?」

「!?」


いきなりの。
エルヴィンからの、爆弾発言だった。
今まで黙っていただけに、その言葉には重みがある。


「エルヴィン、てめぇじゃねーだろうな?」

「えっ!?」


リヴァイのその一言で、更に混乱が広がっていく。
ナナシがどうするか、ではなく、どうなるか。想像すら出来ない。
質問にも答えず、エルヴィンはただ笑っている。その表情からは、どちらとも読み取れなかった。

まさか、ほんとに?
そうなの!?

知りたくなかった。
黙っていられる自信は、正直なかった。


***


団長ジョーク。
妹の話をしだした男主からは、大人組は逃げていきそうです(笑)
いのりさま、リクエスト有難うございました!



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