果てしなく深い闇

溶け込むにはあまりにも深く、手を伸ばす事すら出来ない
何者も寄せ付けない其れに溜息ばかりが溢れ続ける


「…集中出来ませんね」

人形作りが捗らない
いつもは手際良く動く手が何故だか今日は鈍い

手を止め、怪しげな道具が散らばる机の上にひとつ鈍く光る暖かい灯りを優しく消してやる



瞬間、



背後から左の胸を突き抜ける、冷たい刃の刺さる音


「やはり、原因は貴方でしたか」

振り返るとそこに、凶器を両の手できつく握り締めこちらを鋭く睨み付ける 見知らぬ男の姿
殺人鬼、亡霊め、俺が殺してやる、などと息を上げ喚き立てている

「…お静かに」

優しく囁いて男に近付く
こちらから何らかの行動を起こせば、相手は決まって同じ動きをするものだ
男は発叫し、私の左胸に勢い良く刃を突き立てた

「残念…私の心臓は左にはありませんよ」


私が最初から目の前では無く背後に居た事を


「勿論、右にある筈も無いのですが」


彼は気付いていないだろう。






日が昇り始め、辺りが目映く朝日に照らされていく
光に当たるとやはり急激に身体の動きが鈍くなる
朝日が照りつける窓を開け、先程まで元気に喚いていたそれをゆっくりと縁まで引き摺り上げる

言葉も無く、
残酷な迄に冷ややかな瞳で
それを窓の外へ放り棄てた

下を覗けば、散らばる白骨の中にひとつ映える紅。
美しい色。


窓を閉め、埃掛かった黒のカーテンで光を遮る

また、部屋に深い闇が戻った


何事も無かったかの様に静かに闇へ身を沈め
誰にも気付かれる事無く意識を手放した。










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姿消すのはもちろん瞬間移動とか危険予知とかの類いも軽くできそう
ジズさんマジダークネス

一応ポプ参戦前の話のつもりです



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