「さ…っみいい…」


肉まん入りの袋を腕にぶら下げ、白い息と文句を同時に吐きながら隣で歩く金髪ニート。
まあ自分から外出するなんて言い出す事自体滅多に無いから今回は耳を塞いでやろう。



「…あー」

「ん」



ふと止まった足、後から聞こえた間抜けな声。何かと思い振り向くと、明るくオレンジに染まる渚のスターがぼんやりと薄目を開けて夕陽を見ていた。
白い肌に映る夕陽はあまりにも眩しくて、思わず目を逸らした。



「…久しぶりに見た」

「ああ」

「こんな、綺麗なもんだったか」

「……… ……そうだな」



お前あんまり外出ねえから景色忘れんだよ、と背中を叩き、また歩き出した。



「…お前何スキップしてんだよ…顔っつーか頭に合わねえ」

「うるせーな、頭はほっとけ」






睫毛も凍る氷点下の中、胸の辺りだけが何故だか暖かかった。






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