これは恋かと、今更気付いた。

気付いてしまった。

気付きたくなかった。



「好きだ」



またいつもの冗談なんだろう、冗談であって欲しい。
いつもみたいに笑って、冗談に決まってんだろって、憎たらしい笑顔で言って欲しかった。



「好きだ、気付けよ、なあ気付け、オーバ」



やめろ、
なんつー顔してんだよ
いつもの死んだ目はどこへやら。
ぎらぎら、バトル中みたいな、真剣な目。

今はその目を只呆然と見詰める事しか出来ないままでいる。

引き込まれそうで、怖くなった。


「好きだ、」



何度も何度も、只それだけ繰り返しながら俺を強く強く抱き締める幼馴染みに、声を返す事も、行動を返す事も出来なかった。


怖い。

口に出してしまうのが。



嗚呼、

もう戻れない、か



「俺、も、」


声にならない声で、答えを出した。



恐怖に呑まれた。


抱えきれなかった恐怖が、一斉に溢れ返って頬を水没させた。











痺れて、動けない


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