「あかん柔兄、俺もう限界や」
「はぁ?何が、」
やねん、と言いたいところだったのだがそれより先に布団に身体を押し付けられ、金造が俺の口を塞いでしまった。
金造が「付き合わへんか」と言ってきたのは確か三ヶ月程前の事。驚かなかったのかと聞かれればそりゃあまあ驚いた。が、金造は小っさい頃から常に俺にべったり引っ付いていた。それがいつ恋に発展していったのかは解らないが、既にお互い「兄弟」という大きな壁を乗り越えていたようだ。一瞬戸惑ったが、返事は勿論「イエス」だった。
それからというもの、特に今までと変わった様子も無く、柔兄柔兄といつものように甘え寄って来ていたのだが。
「ん…っふ、ぅ」
口内を自由に動きまわる舌に気を取られ、寝間着の中に金造の手が浸入している事に気が付かなかった。
「ぁ、っ……金造…ゃ、やめぇ…!」
「無理やて、もう限界なんや、柔兄」
「何がや、何でいきなり、っ」
身体をまさぐっていた手が止まり、室中がす、と静かになる。
上に重く重なっていた身体が離れ、やっと身動きが可能になった。
「…やって、あれから柔兄と何も変わっとらんし」
「何も、って」
「なぁ柔兄、俺ずっと柔兄とこういう事したい思てた、て言うたら…俺ん事引く?」
言葉を紡ぎ終えた瞬間、金造の頭上に勢い良く拳骨を入れた。
「い…っだあぁああああ…ッ!!何すんねん柔兄…!!」
「アホかお前は!何やねんその引くとか引かんとか…ドアホ!」
「に、二度も言わんくてもドアホなの自分でも解ってますー!」
涙目で痛そうに頭の頂を擦る金造を、多少乱暴ではあるが、ぎゅっと抱き締めそのまま布団に倒れ込んだ。
「あんなあ金造、俺は嫌やったら嫌てちゃんと言うからな、さっきのはいきなりやったから驚いただけや。俺が金造ん事好きなんはずっと変わらへん」
「柔兄…」
よしよしと子供をあやすように頭を撫で、今度は俺の方から優しく触れるだけのキスをした。少し物足りないと感じてしまった事は秘密にしておく。
「柔兄、好きや、大好き」
「…俺も」
いとしくて息ができない!
「………なあ柔兄、………続きはせえへんの」
「嫌や。今日は疲れとるさかい寝る」
「えぇえバッサリ斬られてもうた…!」
「さっき言うたやろ、嫌やったら嫌や言うて。…………また今度な」
「……! …約束やで」
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北海道国民なので京都弁がよくわかりません
と言い訳