今朝は会長が不気味だった。

荷物・服装検査をしながら皆と昨日あった事や、駅前に新たに喫茶店がオープンしたんだ…っていう他愛ない話をしていたら、生徒会室の窓を壊すような勢いで開けて「そこの風紀委員長!どうして君だけ仕事をしていないんだ!」と、会長が叫んだ。



一瞬、意味が分からなかった。話しながらだけど、私はちゃんと仕事をしているから。
後ろを向いて、会長が首を出している生徒会室の方を見ると、あっという間に顔を赤らめて謝ってきた。


こいつ馬鹿だな、って思ったのは事実。
生徒会長が1つでもミスをすると、風紀委員長からブツブツ言われるのに。そして逆も然り。



「明日から掲示板の記事をこっちに変えようかと思うんだけど、どうかな?」

「いいと思うよ」

「だよね!“生徒会長、敬語が消えた瞬間”」



応接間の長い机に自分の弁当と、午前中に作成された記事を広げて心底面白そうに、新聞部の部長は記事の事を話している。
記事の中央には、会長が叫んでいた時の怒りの顔と、謝った時の普段では見られないような恥ずかしそうな顔がアップで並んでいた。

流石、死角が出来ないよう大量に設置された監視カメラ。画質もよし。
補足として、この学園の上空には衛星があって、私達は常に上空の衛星と大量の監視カメラに見られている。


この記事を会長が見たら、どんな顔をするんだろう。今朝みたいに熱でもあるんじゃないか、っていうぐらいになるのかな?

それでも恥ずかしいからっていう理由で、この記事が貼られるのを会長が止める事は出来ない。
何故なら新聞部は独立しているから。生徒会の傘下にあったら、生徒会の不利になる情報は流れず、風紀委員の不利になる情報は流れるから。



「今朝の事、もう全生徒に広がっているみたいよ」

「だろうね、あの時間は登校ラッシュなんだから」

「エステリーゼさんにその後の生徒会長の様子聞けたんだけど、知りたい?」

「興味ない」



そう、興味ない。興味あるのは自分と同じかそれ以上の実力を持つ人。

前の風紀委員長みたいに、一応ライバル関係にあるらしいからちょっかい掛ける。そんな考えは私にはない。



「ナマエらしいわね。体育祭4年連続優勝を期待してるわよ?」

「今の生徒会じゃ相手にならないでしょ。それに、勝つのは当然の事だよ」

「そのセリフ、体育祭の特集で使わせてもらうわ!」



常に携帯しているという、お気に入りのカメラを取り出して、写真を一枚撮られた。

この人にはメモ帳なんて物は必要ない。彼女曰く、覚えようと思ったら覚えられるらしく、写真を撮るだけでいい。
その記憶力を定期テストに生かしているから、彼女は3年のSクラスにいる。


再び弁当を食べ始めた部長を見て、私は風紀委員と関わりのない書類を片付けていった。





視界に入れていた応接間の扉がノックなしに開いた。
それは、窓から入ってくる眠気を誘うような風や、心霊現象が原因じゃない。

フレン・シーフォ……。



会長の眉間には皺が寄っていて、いかにも怒っているようだった。

私、会長の気に障る事した覚えないんだけどな…。



会長は私の目を見据えて、息を吸った。
それと同時に再び扉が開いて、入ってきた人物を視界の端で捕えると、ユーリとリタ。そしてエステリーゼだった……。












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