試合開始のジャンプボール。
僕のチームからは身長185pの人。相手はまさかのミョウジさんだった。

多分、彼女は160pもないだろう。そんな彼女が185p、しかも男子相手にジャンプボールは不利だ。



「ナマエ、今日のノルマは200点だそうです」

「えー」

「ノルマはノルマです」



この試合、10分で200点は無理だろう。何回かに分けて200点取るんだと思うけど。そもそも一人で200点を取る事事態あり得ない。



試合開始の笛の音と共に、審判役の男の子は真っ直ぐ上にボールを投げた。

先攻はこっちだ。

そう思っていたのも束の間。得点が入った合図の笛と、ジャンプボールをした男の子の着地する音。そして、バキッという音が同時に響いた。



「先生、ゴールが老朽化しています!」

「また壊したんですか、新しく替えたのに…誰か全面の用意を、CとDチームは試合中止!」



この場にいた男子生徒は全員、戦慄した。


誰が予測しただろうか、こんな状況を。
160pにも満たない女子が、ジャンプボールで185pの男子に勝つなんて。しかもその女子は305pの高さにあるリングにダンクをして、ゴールを破壊するなんて。
破壊した本人は、指先でリングをくるくる回している。

タイマーを見ると、始まってから1秒しか経っていない。




先生の指示通りに全面のコートを用意して、Aチーム対Bチームの試合が再開された。


彼女にはチームプレーの意識はないのだろうか。
全く味方にパスはしないし、それどころか味方からもボールを奪っている。


まだ2分しか経っていないにも関わらず、点差は開くばかりで0‐101。Bチームの得点は全て彼女が入れた。

そのシュート方法は本当にあり得ないものだ。投げつけるようにシュートする。彼女のシュート成功率は100%。投げれば絶対に入る。
そして時折、彼女はこうして僕を嘲笑うかのように、ボールを華麗に操っている。



「君はチームプレーをする気がないのか」

「チームプレーっていうのはさ、同じ実力の人同士がするものでしょ。こういう場所でのチームプレーは私には必要ないの」



彼女はボールを右手に持って、天井に付いているライトに当たるんじゃないか、っていうぐらいの高さまで投げあげた。


入るわけがない。

全面のコートで、自分の守るゴールの傍から点を入れるのは無理だ。




だけど、彼女なら入るんだって思った。この2分間で思い知らされた。

誰も、動けなかった。


彼女の右手から離れたボールが、何秒もかかってリングに擦りもせず、ただネットが揺れる音がするまでの間。彼女の実力は僕の心をひたすら抉った。



結果、0‐200。彼女は狙っていたかのように、試合終了の笛と共に200点目を決めた。

彼女に必死に追いつこうとしていた僕達は、体操服が吸収出来る範囲を超えた汗を流したというのに。ミョウジさんは清々しい程に汗をかいていなかった。




その後の事はあまり覚えていない。
ミョウジさんは激怒するソディアの挑戦を受けて、バレーの方に行ったらしい。けど、相手にならなかった。ユーリはそう言う。

ソディアを負かした後、ミョウジさんは姿を消した。



体育の次にあった数学の授業も頭に入らなかったし、生徒会の仕事も全く手がつけられなかった。




 










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