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「なんです主はん?」
「や、なにも」

我が本丸はだいたい15時になると演練メンバーが政府の演練施設から帰還する。
今日こんのすけが連れて行ったのは、篭手切江、南泉一文字、秋田藤四郎、千子村正、陸奥守吉行。そして明石国行だ。

今しがた明石のことをきいていたから、戦績報告を受けている最中もつい彼に目がいってしまっていた。
・・・なんか、蛍丸が言えないのもわかるかも。

「じゃあこの辺で。ありがとう。今日はもう夕飯まで各自ごゆっくり」

彼は早く横になりたいと言わんばかりのだるいオーラを全身に纏っており、その両隣にいる南泉と秋田が気まずそうにしていた。

「あ!さいごのひと風が強いから扉は閉めて行ってね」
「はい!それでは主、失礼します。またお食事のときに」
「ありがと篭手切。おつかれさま」

閉まる扉の隙間が細くなるほど、びゅうっと風の音が甲高く鳴った。

「屋根付きの廊下で繋がってるとはいえ、雨風が強い日は移動が億劫だなー」
「典型的な日本家屋ですからこればかりは仕方ないかと」

ソファーで伸びをするこんのすけに宥められる。
彼も強風の影響で少々毛並みが乱れているように窺える。





演練部隊が帰還してちょうど1時間経過した頃、今度は遠征部隊が帰還し執務室にやってきた。

大包平、鶯丸、平野藤四郎、歌仙兼定、小狐丸、にっかり青江。比較的のんびりとした顔ぶれがソファーに座って各々楽しんだ土産話に花を咲かせてくれた。

今日の部隊長を担っていたのは大包平で、彼が総まとめとして真面目に報告を済ませる。
資材も昨日使った分を予め把握しておき、ちょうどそれを補える量に調節して持ち帰ってきたこと。向かった時代が歴史通りの生活水準を保てているかの調査。どれも優秀な成果だった。

「どうだ、わかりにくかった点はあるか」
「すごくわかりやすかったし、資材の件も気を遣ってくれて本当にありがとう」

報告を終え、満更でもない大包平。その同郷の鶯丸は実に楽しそうな様子で部隊長を勤め上げる彼の観察に夢中だ。

「いやー、このような大包平を見ることができて満足だ。これなら戦績報告に部員も同列する形式も悪くないな」
「前は隊長だけだった、ってこと?」
「ああ。それに大包平が部隊長を務めるのはかれこれ10年振りではないだろうか」
「だっ、黙れ余計なことを口にするな・・・!」
「そうなんだ?すごく頑張ってくれるのわかったし、わたしの中では大包平に隊長してもらうことが多くなりそうなんだけど」
「当然だな!部隊長とはこの俺が最も相応しい」

仁王立ちで胸をとんと叩く大包平に平野がおお、と声が出す。
そして歌仙は今回の編成に対し、満足していることを今一度言葉にした。それには小狐丸も賛同し、またこの編成がされることを楽しみにしていると言う。

「わっ、本当すごい風!清光早く閉めて!」
「待って髪直したい」
「もー!わかったよ自分で閉める」

扉の方で清光と安定の騒がしい声がして遠征部隊のみんなとわたしはそちらへ顔を向ける。

「遠征部隊さんおかえりー。お風呂の準備できてるよ!」
「それはどうもありがとう。君、初めての内番だったよね。せっかくだから僕は夕餉までに入ってこようかな」
「うん、ちょっとばたばたしたけど間に合ってよかった。あれ、にっかり青江って目の色左右で違うんだ?おしゃれだねっ」
「・・・そうかい?ふふふ。初めて言われたよ、君にはね」
「きいてよくるみ!清光ってば間違えて僕にシャワーをかけたんだ」

彼らの服は無地のはずだが、所々濡れて色が変わっていた。どちらかというと安定の方が多めに濡れている。
けれど清光は今初めての内番を終えた達成感と遠征部隊に使ってもらいたい気持ちであまり気にしていなそうだ。

「君たち、そんな格好でいたら風邪を引いてしまうよ。早く着替えるべきだ」

歌仙がふたりの心配をして眉を下げる。
そしてその彼に安定がここの乾燥機を借りようとしている旨を伝え、清光があーそうだったと首を縦に振る。

「そうか、それなら僕たちはこの辺で御暇しよう。主、君も無理はしちゃいけないよ」
「はい、ありがとう。みんなも遠征おつかれさまでした」
「俺は資材を置いてから風呂へ入らせてもらう」
「手伝うぞ、大包平」
「それではぬしさま、失礼いたします」

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