終わりと始まり



大粒の雨が荒廃した地に降り注いでいる。
少し前まで戦いのあったこの地にとっては恵みと浄化の雨かもしれない。
しかし、荒野に立つ三人の少年らにとって、それは全く違うものとなった。
雨粒は彼らの頬を伝う雫を紛れさせ、悲しみの声を隠した。

「どうしてだよ…」

一人の少年が空を見上げる。黒い雲が沈んだ気持ちにさらにのしかかってくる。
目を閉じると浮かぶのは、笑顔。
大丈夫と告げ、あの強大な魔物に一人立ち向かっていった仲間の笑顔。

「一緒に帰るって約束しただろ……」

思い出すのは彼女との思い出、ここまでの旅路。
駆け巡る記憶は三人の心を抉る。

「違う」

少年の心に灰色の雲が湧きあがる。

「こんな終わりじゃだめだ」

雲は禍々しく渦巻く。

「変えよう」

「え?」

仲間のうちの一人が少年の呟きに反応した。
もう一人も不安そうに顔を覗き込む。

「変えるんだ、俺たちの手で。この残酷な現実を…!!」

少年の瞳には、歪んだ正義が映っていた。
少年は新たな旅を決意する。
失われた少女の命を再び蘇らせるために。
雨は降り続いていたが、少年の心を溶かしてゆくことはなかった。



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