(学パロ)
(のあさまへ、相互お礼文です!)




最初は遊びのつもりだったんだ。

俺たちが出会ったのはまったくの偶然だった。夜間コースに通う俺と、昼間の一般コースのトラファルガー。
俺が学校に来るのは昼間の生徒が帰ったあとだから、顔を合わせることなんてないはずだった。
それなのに、トラファルガーと出会ったのは、おれたちが同じ机を共有していたから。
ある夜俺が帰り支度をしていたら、昼間の制服を着た男が教室に入ってきて、俺の前で止まった。
机の中に忘れ物をしたらしい。中を探って渡してやると、ありがとうと微笑まれた。
その男がトラファルガーだ。それからなんとなく一緒に帰って、そのあともちょくちょく俺の退け時に顔を合わせるようになった。
トラファルガーは大体その時間に予備校が終わるからだと言っていたが、思えばあれは俺を待っていたのかもしれない。
そんな風に思ったのはいつだったか。たぶん、あいつが俺のことを好きなんだと気付いてから。

それに気付いたのはそう前のことじゃない。特にこれといったきっかけはなかったが、いろいろ思い返してみるとどうやらそうらしいと思えたんだ。
深夜のコンビニで、帰り道にある公園で、隣にいて話しているときのあいつの嬉しそうな顔。
メルアドを教えてやったときには、大事そうに携帯を握り締めていたっけ。あと、彼女と別れたと愚痴ったときの少し安心したような顔。
煙草が苦手だというから、わざと顔を近づけて吹かしてやったときの赤くなった顔。俺と別れるときに見せる、残念そうな甘えた顔。
そうやってトラファルガーが俺に見せる顔を見るのが面白くて、わざと意地悪したりからかったりもした。
ちょっと泣きそうになる顔がお気に入りだなんて、俺もどうかしてる。
でも、俺にしてみればちょっとしたお遊びのつもりだった。好意を寄せてくれるあいつが可愛くて、ちょっとの間こいつと遊ぶのも悪くねえかもって。
だから、俺の家に招いたのもほんの気まぐれ。しっぽ振ってついてきたトラファルガーに、内心苦笑しながら玄関の鍵をかけた。
あいつの赤くなる顔が見たいからって、あんなことを言ってしまったのは久しぶりに摂取したアルコールが効きすぎた所為だと思いたい。



「なあ、お前俺のこと好きなんだろ?」


藍色の瞳が丸くなる。直後、アルコールで赤くなっていた顔がさらに赤くなった。
相変わらず表情に出やすいやつだな。取り落としそうになっているチューハイの缶を取り上げて机の上へ。
トラファルガーを背後の壁に押し付けるようにして、距離をつめた。ほんのりとライムの匂いがする。
そうだろ?と片手で赤くなった頬をなでながら聞いてやれば、恥ずかしげに目を伏せられた。
その反応を肯定と取って、俺にも好きになってほしいかと囁いて耳朶にキスをする。
身体を震わせながらもうなずくこいつに、心臓がどくんと音を立てて鳴った。
相変わらず赤い顔に少し潤んだ藍色の瞳。何かもの言いたげな唇から覗く舌から目が離せない。
本当はこの辺で終わるはずだったんだが、その顔をもっと乱してみたくて、その先を見てみたくて。
俺のジャージをきゅっと握るトラファルガーの手を握って、俺もお前が好きだと告げていた。
とたん嬉しそうに輝く藍色の瞳。なんて単純なヤツ。俺の言葉が本当じゃないかもなんて、考えたりしないのだろうか。


「だから、しようぜ」
「……なにを?」
「好きなやつと部屋で二人っきりで、することって言ったらひとつだろ」


ようやく言葉の意味を理解したらしいトラファルガーの首筋をぺろりと舐める。
そのまま唇を寄せて口付けを落とすと、身じろいで抵抗された。
こいつの抵抗なんてもののうちに入らないが、逃げられないようにだめ押しの言葉をひとつ。


「今させてくれなかったら、嫌いになるかもな?」


ジャージを握る手に力がこもる。
唇の触れそうな距離で、ダメか?と甘えるように問えば、泣き出しそうな藍色の瞳がこちらを見た。

もう少し。さあ、落ちてこい。


「……嫌いに、ならないで。お前にならなにされてもいいから…」




ほら、もう俺の掌の上に。




続きはR指定ですので、その辺を踏まえてどうぞ! 


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