(現パロ)





「なんで抱かねえの?」


三週間目の金曜日の夜。意を決して放った俺の一言に、ユースタス屋が目を丸くする。こいつ、分かってねえな。


「なんで寝るときは別々なんだ?」
「起きてるときはお前べったりの癖して」
「なあ、なんで?」


畳み掛けるように質問を浴びせながら近づくと、バランスを崩したユースタス屋が仰向けにひっくり返る。
いてえとか下で聞こえるけど、この際無視だ。逃がさないように服の裾をがっちり握って、ユースタス屋の腹の上に乗り上げる。
いつもは見下ろされてる俺が見下ろしてる。なんだか気分がいい。ユースタス屋みたいに眉間にぎゅっと皺を寄せて。不機嫌そうな顔を作って言ってやった。


「俺はぬいぐるみじゃねえ」


ぱちぱちと二回瞬き。直後にユースタス屋が吹きだした。
俺の発言はそんなに面白かったのだろうか。身をよじって笑うものだから、身体がぐらぐらと揺れる。
ムカついたから数回叩いてやれば、腕を取られてしまった。
畜生、まだ笑ってやがる。


「ぬいぐるみって、お前…くっ、はははっ」
「笑ってんじゃねえよ!だってそうだろ!?」
「にしたって、おま、ぬいぐるみとか……ふふっ、はははははっ」
「いい加減にしねえと消すぞお前」


さっきよりも本気で叩いてやれば、ユースタス屋が腹筋を使って起き上がってきた。
一気に距離が近くなって、顔を覗き込まれる。面白くない気分は続いていたから、こちらを見つめる赤い瞳を睨む。
すると軽く頭を撫でられた。


「一人で寝るのは寂しかったか?」
「別にそういうわけじゃねえけど……」


ああ、なんかかっこ悪い。こんなはずじゃなかったんだけれど。
黙ってうつむいた俺の頭を、またユースタス屋の手が撫でた。やっぱりガキ扱いかよ。
やりたいとかやりたくないとか、そういうことよりも、対等に見てほしかったんだ。
俺のほうが年下で、7つしか離れてないけどユースタス屋はオトナで。
不安なんだ。


「……お前が、怖がるかと思ったから」
「は?」
「なんか、結構俺が強引にお前のことここんちに引っ張り込んじまったし。“好きだ”ってのはいいけど、いざやるってとこまで追いつかねえかなって」
「……」
「まあ、もう俺のもんだから焦らなくてもいいかと思って我慢してた。だから、な」


そっと頬に手が触れて、顔を上げさせられる。
もう眉間の皺も続かなくて、どんな顔をしていいか分からなかった。俺を見てユースタス屋が少し笑う。
時々見せる、意地悪な笑顔。


「俺より先に、お前の我慢が切れるとは思ってなかったけどな」


悔しいけど仕方ない。これが惚れた弱みってやつだろうか。
でも仕方ない。仕方ないくらい、俺だってお前のこと好きみたいだ。
だからってこの気持ちは治まらないから、まだ俺の頭を撫でてるユースタス屋を、もう一度床に押し倒してその勢いで口づけた。
俺からするのは初めてかも。口の中を一舐めして、絡め取られる前に唇を離す。


「我慢なんかとっくに切れた。ユースタス屋が、ほしい」





お膳立てしてやったんだ。これでやらなかったらお前のこと不能だと思うからな。




いつもどおり、のすこしまえ




続きはR-18指定となっております。大丈夫という方はどうぞ! 



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