(原作寄り)


黒い毛皮の敷いてあるソファに身を沈める。
この船の経理はどうなっているのかというくらい、こいつの部屋は装飾品に満ちている。
居心地は悪くないが、なんだか落ち着かない。鏡台の飾りの髑髏がこの部屋の住人に似ているだなんて思っているのは内緒。
実際似てるだろう。眉もないしな。
そう言ったら怒るだろうか。

足音がドアの向こうに聞こえて、間もなくドアが開いた。首にタオルを引っ掛けた風呂上りのユースタス屋が入ってくる。
俺の方に一瞥をくれて、そのままベッドに倒れこんだ。


せっかく来てやったのに無反応かよ。
別に約束していたわけではないが、この俺がいるってのにそれを無視して一人でベッドに直行ってのはどういう了見だ。
なんだか面白くないので、ベッドの上のユースタス屋に勢いをつけて乗り上げる。
下で呻き声が聞こえたような気がするが、知ったことか。



目の前にある赤い髪を悪戯に弄る。
普段は整髪料だかなんだかによって重力に逆らっているそれも、今はふわふわと柔らかい。
光に透かすと少しオレンジ色で、思っていたよりも細い。指をすり抜ける感触が好きで、何度も指に絡めては梳いて離す。
襟足の方をさわさわと撫でると、また下から声がして、ユースタス屋がくすぐったそうに身を捩った。

可愛いなあ。

その反応が面白くて、後ろ髪を掻き分けて白いうなじにキスを一つ。
おまけでぺろりと舐めてやると、とうとう身体の向きをひっくり返されてしまった。
体勢が変わって、今度は俺が見上げる番。


「遊んでんじゃねえよ」
「俺を無視するからだろ」
「してねえよ……。ていうか、何しに来たお前」
「まあ、髪下ろしたユースタス屋が可愛いから許してやるが」
「会話しろよな…」


さらりと流れる赤い髪が、俺の頬に触れる。少し起き上がって、今度は唇にキスをした。
今はなにも塗られていなくて薄紅色。この色のときが、一番いい。
背中に回された手に安心してもう少し。赤いふわふわにまた触れたくなって、ユースタス屋の頭に手を回した。




やわらかく、ゆれる




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