(原作寄り)


船に戻ってくると、俺の部屋のベッドに上に男が一人。
いつも着ている赤いコートは椅子に引っ掛けられて。
床の上にはブーツが転がっている。
いやいや、人の部屋でマジ寝ってどうなのおまえ。
いつだったかこの船は涼しくていいとか言ってたけど、それにしたってだ。
俺じゃない誰かが来たらどうするんだ。


「おーい、そこの不法侵入者」


声をかけてみたが一向に起きる気配はない。
近づいて男の顔を覗き込む。
いつもは眉間によってるしわもないし、瞳の赤い炎も見えないからいつもより子どもっぽく見える。
通った鼻筋にルージュの引いてある唇。
端正な、顔。俺の大好きな。
ああやっぱかっこいいと心の中でつぶやいて。


「ユースタス屋、起きろ」


俺暇なんですけどーと呼びかけても規則正しい寝息は乱れない。
寝顔を見てんのも楽しいけど、かまってくれないとさびしい。
せっかくそばにいるのにさあ。


「おきねーと襲うぞ」


俺は忠告したからなーと一人ごちてやつの半開きになってる唇をふさぐ。
舌を侵入させて好き勝手に貪る。いつもは俺がやられてる方だから、たまには良いか、なんてな。
思ってたら髪を引っ張られた。
チュッと音を残して唇を離す。眠たげな目がこっちを見ていた。


「……ねこみおそってんじゃねーよ」
「かまってくれないユースタス屋が悪い」


しるかよそんなのと、まだ半分夢の中なのか舌っ足らずな口調で言うもんだから、思わず頬が緩む。
時々かわいいんだよなあなんて思っていると、ぐいぐい腕を引っ張られて、あっという間に腕の中に閉じ込められた。
おいおい、俺は寝るつもりなんてないんですけど。


「まだ昼だぜ、ユースタス屋」
「うっせ。おまえここにいろ」


大きなあくびを一つ。
昨日夜っぴいてカードやってたからねみいんだよとぼそぼそつぶやいたかと思うと、俺のことぎゅーっと抱きしめて、ユースタス屋はまた眠りの世界へ。
腕の中はちょっと苦しいけど、こうしてるのは悪い気分じゃないから、しょうがないからここにいてやる。
ちょっと甘い顔しすぎかなあって思うけど、好きなんだからしょうがない。
起きたらさっきの続きをしようか。


午睡




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