(原作寄り)


ユースタス屋にキスをした。
少しの間触れて離れた俺の唇には、やつの口を彩る紅が移って。
大して旨くもないそれをぺろりとなめていたら、同じように彩られたごつい指が、俺の唇をぬぐった。

そしてそれはすぐに与えられる。
ユースタス屋からの、キス。
俺がやったような触れるだけなんて可愛らしいもんじゃない。
大きな口が俺のことを飲み込もうとするかのように、触れてくる。
赤い舌が唇をなめて、歯を掠めて、その奥へ。
さっき俺の唇をぬぐった大きな手は、俺の身体をがっちり捕らえて離さない。

身体ごと全部で、されてるみてえ。

なんだかおかしくて笑ったら、ユースタス屋の目が開いてこちらを見た。
ゆっくり離される唇。少し惜しい、ような気もする。

「……ユースタス屋は、キスすんの好きだな」
「ンだそれ」
「こうやってさ、唇で触れんの好きだろう?可愛いな」
「……好きなのはお前の方だろ」

眉間にしわがよって、凶悪な目が細められる。
わかるんだよ、俺にはさぁ。
だって、セックスしてるときもそうじゃねえか。

「好きだぜ?気持ちイイからな」
「それだけか?」

色の薄くなった唇がくっと釣りあがる。
もちろん、それだけじゃない。

「もっと気持ちイイコトしてくれよ」


それだけじゃたりないんだ!なんてさ。



触れているだけなのにこんなにも




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