Trick or treatよりも君がほしい


(現パロ)



「Trick or treat」
「はあ?」
「Trick or treatっつったんだよ!」
「……お前、菓子がほしいのか?」
「むしろお菓子がないって言うお前に性的悪戯をしたいと思ってる」
「そういうことは思ってても言わねえもんなんだよ」


ほらとユースタス屋が俺に寄越したのは袋に入ったクッキー。ユースタス屋の好きなあの青い箱に入ったクッキー。袋を開けて一枚かじる。あまい。


「なー、悪戯したい。悪戯していい?」
「だめ」
「性的な悪戯しかしねえから」
「だめ」
「……ユースタス屋が俺にしてくれるんでもいいけど」
「性的じゃねえのならいくらでもしてやるけど」


ユースタス屋が鉛筆立てから迷うことなくマジックを引き抜いた。しかも油性。どこに書いてほしい?ってうれしそうに聞くな!全力で遠慮することにする。とても残念そうな顔をしたユースタス屋は、マジックを元に戻して台所へ消えた。くっついていくかどうか迷ったけど、結局やめてソファに寝転がる。性的悪戯、したかったんだけどなー。性的なことなんてしょっちゅうやってるけど、悪戯してみたい。嫌がるユースタス屋の涙目とか……正直見てみたい。でも、どうやってそういう状況に持っていけるかなんて考えつかないのも事実で。涙目で嫌々言ってくれるなら可愛いけど、現実はたぶんそら恐ろしい顔で別れを告げられることだろう。そんなことになったら俺が涙目だ。いや、涙目って言うか泣く。
性的欲求と現実の間で俺が悶々としていると、程なくしてユースタス屋が台所から出てきた。手には皿に乗ったフレンチトースト。


「……なんで?」
「甘いもん食いたくなった」
「こんな時間に甘いもん食うと太るぞ」
「女かてめえは」


いらないんならいいけどと言うユースタス屋からフォークを受け取って一口食べる。ユースタス屋の作るフレンチトーストは黒コショウが使われていて、甘いだけじゃなくて少しピリッとしている。
甘いものはそんなに好きじゃない。でも一緒に食べるのは傍にいたいから。テーブルに手をついて、ハチミツのついたユースタス屋の唇を舐めた。こっちも甘い。けど俺のほしい甘いものはこれ。


「……別に悪戯するんじゃなきゃあシてもいいけど」
「マジで?」
「お前がこの皿洗ってくれるってんなら」


にっこり笑って皿を差し出すユースタス屋に、負けじとにっこり笑って皿を受け取る俺。
ハチミツ付きで待っててもらおうかハニー。









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