(2月22日にちなんでにゃんこ擬人化)
(あたたかい目で見ていただけると幸いです←)
「おい、おきろ!おきろよ、とらふぁるがー!」
ユースタス屋の声。だけどなんか感じが違うな。いつもよりかわいいような……。
「いつまでねてんだ!もうごはんだってゆーすたすやがいってたぞ!」
胸の上が重い。なんか乗ってる。ユースタス屋にしては軽い。ってかなんかふわふわしてる。
重いまぶたをやっとのことで持ち上げた俺の目に飛び込んできたのは、赤い髪をした目つきの悪い子どもだった。
猫耳つきの。
「…………誰おまえ」
「やっとおきたとおもったらまだゆめみてんのか?」
ベッドの上で身体を起こした俺のひざの上には、相変わらずちっちゃな子どもが座っている。
それだけでも十分ありえないが、もっとありえないのはその頭から生えてる猫耳と、腰の辺りで揺れるしっぽ。
ふわふわしてたのは子どもが着ている黒っぽいコートだったらしい。子どもは黒いくつしたを履いた足をぶらぶらさせながら、
はやくおきないとゆーすたすやにおこられるぞ!と言っている。ちょっと待て、なんでユースタス屋のこと知ってんだ。
ていうか、猫耳にネコのしっぽ。これってもしかして。
「……キッド?」
「なに?」
えええええええ!!??あれ、キッドってこんなんだっけってか俺が拾ってきたときはこんな子どもみたいな感じじゃなかったと思うんだけど!?
でも、このコートの色とか、なんかいろんな色が混じったようなズボンとか、黒いくつしたとか、全部キッドの毛並みと同じだ。
それに顔がユースタス屋そっくり。ていうかユースタス屋のちっちゃいときみたいな感じ。見たことないけど。
夢か。これは。そうだな、夢だな。まだきっと夜の2時くらいとかだ。
「どうしたんだ?とらふぁるがー」
目の前の子ども、いや、キッドが大きな目で俺のほうを見上げてくる。
ちょ、かわいいな、おい。
金色の瞳がきらきらしててマジでかわいい。ちょっと、ぎゅってさせてくんねーかな。
「なあ、キッド。ちょっとさわってもいいか?」
「なんだよ、いつもはなんにもいわないでぐしゃぐしゃやってくるくせに。ちょっとぐらいならいいぞ」
お許しが出たのでそっと手を伸ばして触れた。手触りはネコのときと一緒で、柔らかくてすべすべしている。ユースタス屋にブラシかけてもらってるもんな。
しっぽがぱたりぱたりと揺れているが、嫌ではなさそうだ。喉をくすぐるとネコらしく喉を鳴らした。
やべえ、かわいい。ちょうかわいい。ネコのときからかわいかったけど、これはまた違う。なんていうか、萌える。
思わず腕に力を込めてぎゅっと抱きしめると、さすがに身じろいで抵抗された。
「なんだよ!もういいだろ!」
「あー、俺今ちょうしあわせかも。キッドかわいいー」
「やめろ!ちょっとだけっていっただろ!」
恥ずかしいのか顔を赤くしてるとこもユースタス屋にそっくりだ。ネコが恥ずかしがるってありか?
まあいいや、夢だしな。
ってかほんとかわいいなー。マジでぐしゃぐしゃやりたくなってきた。
いやいや、相手はネコだぞ、俺。でも今はなんかしらねーけど人間ぽいし……。
……いいか。夢だから許されるよな?
ばたばた暴れてるキッドを布団の中に引っ張り込んでもう一度抱きしめなおす。髪に顔をうずめると日なたのにおい。
ぎゅっと抱きしめたまま背中からしっぽまで撫でてやると、小さな身体がびくっと震えてしっぽが大きくなった。
ほっぺたが薄紅色に染まって、どうしようって困った顔してる。
あ、俺止まんないかも。
「キッドー、愛してるー」
「やだやだやめろへんたい!ゆーすたすや!ゆーすたすやあ!」
「なにしてんだ変態」
俺がキッドにキスしようとした寸前、布団がすごい勢いでまくられて本物のユースタス屋と俺の目がばっちり合った。
その隙にキッドが俺の腕から逃れてユースタス屋に飛びつく。耳がぺたんとねてるのがまたかわいい。しかもユースタス屋とキッド。
なんだおまえら。俺をこれ以上萌えさせてどうする気だ。
「なかなか起きてこねえと思ったら……。朝っぱらからネコ相手にサカるな、変態。それともなにか?とうとうイカレたか?」
「え、だってキッドかわいいし、これ夢で人間みたいになってっからいいかなって…」
「……完全にイカレたな。これのどこが人間みたいだよ?」
あれ、もしかしてユースタス屋には見えて、ない?
こわかったなーと言いながらキッドの頭をなでているユースタス屋の目には、キッドはネコの姿にしか映っていないらしい。
え?俺だけ?ていうかこれ夢なのか?なんかもうリアルすぎるんだけど。
(つづくよ!)
戻る