(もしもあの子がネコになったら)
(いつもどおりバージョン)
(まさかのニャースタス)
(ローさんもなったので(これ)2月22日にはキッドがなりました)
ある朝起きたら、ユースタス屋に猫耳が生えていた。
「なんでこんなことになってんだよ……」
「昨日はなんともなかったのにな」
「暢気だなあ、お前!なんか変なもんでも食ったんじゃないのか?」
「食ってねーよ」
当の本人はくあっとあくびをしたら、またすぐベッドにもぐりこんでしまった。
片手で枕に顔を埋めたかと思ったら、もう片方の手は俺をつかんで離さない。
「俺、起きたいんだけど」
「んー?やだー」
「やだじゃねえよ!俺はもう起きるの!」
「お前今日休みだろ。知ってんだ……」
そう、入試期間中で今日大学は休み。関係者以外は立ち入り禁止になっている。
そういえば、台所に張ってあるカレンダーに書いておいたっけ?
ユースタス屋がごろごろ喉を鳴らしながら抱きついてくる。しょうがないから向かい合わせになってユースタス屋の頭を撫でた。
気持ちよさそうに頭を俺の胸に擦り付けてくるとこなんてもうまったくのネコ。ぴんとした耳をそっと撫でる。
「お前、危機感ないよなー」
「だって、お前が前にネコになった時だってすぐ直っただろ」
「まあそうなんだけど。戻らなかったらどうするんだ?」
「そのときはお前に飼ってもらうから大丈夫」
くすくすと笑いながら、ユースタス屋が俺の頬を舐めた。そのまま唇が押し当てられて、頬や首筋をぺろぺろ舐められる。
くすぐったいから身を捩って逃げ出そうとすれば、逃げるなと言わんばかりに両腕で抱きしめられてしまった。
「やっ、ぁ…ユー、スタス屋!やめろって!」
「やだー」
「やだー、じゃねえよ!ぁっ、や、ん…!」
「きもちいいくせに」
くちゅくちゅと舌先で耳元をくすぐられて身体が震えた。俺の身体を押さえている手が下着の中に滑り込んできたもんだから、さすがにヤバイと思ってユースタス屋のしっぽをつかむ。
少しスウェットをずり下げて出ているしっぽは、耳と同じで黒い色をしていて、すべすべした毛並みのそれの、根元のほうをきゅっとつかんでやった。たちまちユースタス屋の身体から力が抜ける。
くたっと力が抜けて俺に寄りかかってくるから少し重たかったけど、ゆっくり手を動かしてしっぽを擦ってやった。手の中でぴくぴくと震えるそれが面白くて、わざとゆっくり何度も何度も。
俺の耳に、ユースタス屋の切なげな吐息がかかる。首を回してその顔を見れば、なんとも言えず蕩けた表情をしていた。
「な、ユースタス屋、きもちいい?」
「ん……、にゃ、ぁ、ん…んぁ…、きもち、い」
「すっげーやらしい顔してる」
「っ、ぁ、しょうが、ねえっ、だ、ろ…。きもちいいもんは、ぁ!」
いつもいじめられてるお返しとばかりに、ちょっと意地悪なことをいってみたけど開き直られた。これくらいじゃ効かないらしい。
それじゃあなんだかつまらなかったから、もう少し。
ユースタス屋の下から移動して、向き合う形でユースタス屋を抱きしめる。
逃げられないように足を絡めて、ちょうど目の前にある耳に優しく歯を立てた。
「っつぁ、にゃ!あ!…お、ま、なにやって、にゃぁ!」
「やっぱ耳も弱いんだな。俺のときもそうだったし」
「や、ふーってすんな!や!」
「いっつも俺が嫌がったってするのはどこの誰だっけ?」
かぷかぷとちょうど人間で言う耳朶に当たるところをかじると、面白いくらいユースタス屋の身体が震えてにゃんにゃん啼いた。
耳に息を吹きかけて、しっぽも同時に弄ってやると、それが一番感じるらしくて俺に縋り付いてくる。
ユースタス屋はくすぐったがりだから、それも手伝ってかものすごい効果。
でも、大きな身体を震わせて俺にしがみつくユースタス屋はなんだかかわいくて、ぎゅっと抱きしめてやった。
「ふふ、にゃんにゃんいってかわいいな、ユースタス屋」
「しょうがねえだろ、声勝手に出ちまうんだから」
「そんなによかった?しっぽ弄られんの」
「…………」
「なあ、きもちいいこと、もっとする?」
いつもとは立場が逆転してむっとした顔のユースタス屋が面白くて、まだからかってみた。もう嫌だって拗ねたら止めるつもりだったんだけど。
ユースタス屋の目がきらっと光ったのは気のせいだったか。
いや、そう思った瞬間に、気付けば俺はひっくり返されて唇を塞がれていた。
べろりと舌が歯の隙間から侵入してきて、俺の口内を荒らす。
長い長いキスはいつもより少し乱暴で、唇が離れた後に見たユースタス屋の目は、やっぱり妖しく光っていた。
「もっとしようぜ」
「…へ、え?」
「きもちいいこと、まだまだ足りねえから」
ローに気持ちいいことしてほしいって、耳元で囁かれて、今度はユースタス屋の手が自ら俺の手にしっぽを握らせた。
これは、もしかして。
「ロー、手、止まってんぞ」
「や、だっ、て、ぁん!」
こんなはずじゃなかったのに。いつもの仕返しをちょっとだけしてやろうって思ってただけだったのに。
気がつけばユースタス屋が俺の上に乗っかってて、お前も気持ちよくしてやるよって俺のを握ってきて。
その後はもういつもと同じ。ユースタス屋の手に翻弄されて、俺はしっぽ掴んでるのがやっと。
「なあ、もっときもちよくしてくれよ」
「っつ、あ、じゃあ、手、止めろっ、ぁあ!」
「俺だけ気持ちよくなったら不公平だろ?なー、ロー。きもちいいこと、もっとしてくれんじゃねえの?」
「ぁ、耳、や、だ!ユースタス、屋ぁ…!」
「きもちいいこと、してほしいな」
にやにや笑うユースタス屋が、今度は後ろに手を伸ばしてきて息を呑んだ。何度やってもこの瞬間は慣れない。
しっぽから手を離して、ユースタス屋の背中にぎゅっとしがみついたら、苦笑するような声がして抱きしめ返してくれた。
妙な感じがするのは最初だけ。ユースタス屋の指は俺の気持ちいいところを全部知っていて、そこに当たるように内壁を優しく引っ掻く。
指の動きが的確すぎてイっちまいそうになるのをやり過ごしていたら、ふいに出入り口を広げられて、指とは違う何かが入ってきた。
「ひあ!や、ぅ、あぁぁん!な、っに、入れて…!」
「んー?だって、お前がしっぽ構ってくれないから…。ってか入れただけでイったのか?」
ぐいっと押し入ってきたのはユースタス屋のしっぽで、いきなり奥の方まで突かれて思わずそれを締め付ける。
毛先が俺の奥のほうを抉ったとき電流が身体を走ったみたいになってて、気がつけば熱を吐き出していた。
力の抜けたところにまた中で動かされて、ぐったりした手でユースタス屋にしがみつく。イったばかりで敏感な中をうごめくそれは、なんとも言えず気持ちよくて。
毛が中で擦れ合って、奥から前からぐにぐにと動いていつも以上の快感が送られてきて、目の前がチカチカした。
きゅんきゅん締め付けるのが気持ちいいらしく、ユースタス屋が身体を密着させたまま腰ごと身体を揺らすもんだから、前もちょうど擦れ合ってたまらない。
「っつ、あ、ロー…!これ、まじっ、でやべえ…!っぁ!すっげ…!ん!」
「や、や、ぁ!あ……っ!ふかっ、イ―――――っ!」
「あんっ、ま締めんな…っ…、お前な、ちょっとイきすぎ」
ユースタス屋がぐちゃぐちゃと出し入れを早くするもんだから、それにしたがってしっぽが奥のいいところばっかり突き上げてきて、俺はまた熱を吐き出した。
ユースタス屋が呆れたような声を出すけど気にしない。
お前も気持ちいいくせに。
ずるりと抜けていくしっぽをきゅうっと締めてやったら、無い眉がぎゅっと寄せられた。
ふふ、ざまあみろ。
「もう、終わり?」
「いや?しっぽですんのすげえいいんだけど…、」
「――――――――っつ!!」
「そろそろ俺もイかせて?」
すばやくひっくり返されたかと思うと、今度はユースタス屋のが俺の中に入ってきた。
後ろはもうどろどろに蕩けきってるから痛くは無かったけど、やっぱり圧迫感がすごい。
同時にしっぽが今度は俺のに巻きついて上下に抜く動きをする。それだけでもたまらないのに、ユースタス屋の手が胸に伸びてきて、きゅっと乳首をつままれた。声にならない声がシーツの中に消える。
中をゆっくり熱い塊で擦りあげられて、前は毛先で擦られて。乳首の先をかりかりと引っ掻く指先は、時折ぎゅっとつまんで捏ねてきて意地悪で。
身体中どこもかしこもで快感を拾わされてバラバラになっちまいそうだ。
しかもイきそうになるとしっぽがぎゅっと締め付けてきて、宥めるように背中にキスされる。
目からは生理的な涙が止まらなくて、気持ちいい?っていうユースタス屋の問い掛けに必死で頷いた。
「な、ロー、気持ちいい?」
「ひうっ、あ!ぁあん!ん!ん!」
「こっちもすげー勃ってるもんな…。も、取れそう」
「や、も、掴むな…っ、ぁん!ぁあんん!」
「お前だってやらしい顔してんじゃん」
一緒にイこうなって声はすごく優しくて。ぐいっと奥を突かれた瞬間に俺のを戒めてたしっぽが緩んで、身体を震わせながらイった。
ユースタス屋も何とか引き抜いてイったらしく、熱い飛沫が俺の尻にかかる。
満足げに倒れこんでくるユースタス屋の頭を、力の入らない手で叩いたのは言うまでもない。
その後しばらく意識がなかった俺が、今度目覚めたのはもう昼前だった。でもまだ場所はベッドの中。
ユースタス屋の頭にはまだ猫耳が生えていて、当の本人は上機嫌で俺の頬を舐めていた。
「……このエロネコ」
「誘ったのはお前だろ?俺のことその気にさせたくせに」
「そんなつもりじゃねえよ!ったくこの変態ネコ!ばか!ばか!」
「いって、耳ひっぱんなって!だってお前がしっぽ触ってくれんのが気持ちよかったから」
「もう、今日起きられないぞ。どうするんだよ」
「いいだろ。ネコは寝るのが仕事だ」
ごろごろと喉を鳴らして擦り寄ってくるユースタス屋を結局抱きしめてしまう俺。
にっこり笑ってにゃあんと言われれば、しょうがねえなあって。
しっぽ気持ちよかったからもっかい撫でてと言われて、今度はそっと毛並みに沿って撫でる。
ユースタス屋の蕩けたように幸せな表情を見て、まあ今日一日くらいは戻らなくてもいいかと思ったり。
いとしきケダモノ
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