(10000hitリクエスト!のあさまへ)
(ヤンデレキッドさまでキドロ)




玄関の鍵を開けるとがしゃんというガラスの割れる音がした。
ああ、まずいと思いながら、突っかけていたスニーカーを脱ぎ捨ててリビングへと走る。
入った先では色んなものが床に散乱していて、つい数分前までの片付いた部屋の面影はどこにもなかった。
そしてテーブルの付近に散らばるガラスの破片。その真ん中にユースタス屋が立っていた。


「キッド」


声をかけると赤い髪がぱっと翻って、ユースタス屋がこちらを見た。ああ、やっぱり。
どうしてそんな泣きそうな顔してるんだよ。


「ロー」


鋭く尖ったガラスをものともせずに、ユースタス屋がこちらへやってくる。
だめだ、裸足の癖にそんなことしちゃと思うけれど、俺が言葉を紡ぐよりも速く、彼は俺の傍へやってきて、腕の中に閉じ込められた。
名前を呼ぶ声が耳元でする。たまらずに俺からも抱きしめ返した。


「どこいってたんだよ」
「コンビニ。お前がまだ起きないと思って」
「消えたのかと思った……」
「ごめん。ごめんな?」


まだ下ろされたままの髪の毛を撫でる。俺を抱きしめる腕の力がますます強くなって。
でもそれが左手だけなのに違和感を感じて下を見下ろせば、ユースタス屋の身体に沿うように下ろされた右手からは、血が流れていた。さっきのガラス片で切ったのだろう。
そういえば、足だって切ってるかもしれない。
手当てしないとと思って身じろげば、もっと強い力で抱きしめられた。片手だけなのに苦しいくらい。そのまま崩れるように床に座り込んで、俺の上にユースタス屋。
見上げた顔はやっぱりどこか泣き出しそうで。頬に触れようと手を伸ばしたら、俺の手がたどり着くまでに、ユースタス屋にキスされた。
触れるだけじゃなくて、舌が俺の口内を暴れまわる。必死に応えるように舌を絡めていたら、ゆるく噛まれて舌を吸われた。
飲み込みきれなかった唾液の零れる俺の口の端を舐めて、今度はは唇を食まれる。
なにかを確かめるように、やさしく歯を立てては時折吸われて、熱い唇が移動する。
頬から喉元、肩を通ってTシャツをたくし上げられて。舌が肌をなぞりながら、がぶがぶと俺の身体につけられていく噛み痕。
時々当たる犬歯がちくりと痛くて、でも、俺の身体を押さえる手は優しくて。痛いようなくすぐったいような。ゆるゆるとした快感に包まれてため息をつく。
俺を噛んでるユースタス屋の顔はどこか真剣で、伏せられた目を縁取るまつげが、まだ下ろされたままの赤い髪が、きれいで切なかった。


「なあ、なんで噛むの?」
「ん…」
「っ、ぁン……、俺のこと、食べたいの?」


臍にちゅっとキスを落として、ユースタス屋がこちらを見る。俺も身体を起こしてその頬に触れた。怪我してない方の手が俺の手に重ねられて、そっと親指の付け根に歯が当てられた。


「食べねえよ」
「ふうん。食べたいのかと思った」
「だって、お前のこと食っちまったら、もう二度とお前に会えないだろ」
「でも、お前ん中でずっと一緒だぜ?」


別に食べてほしいわけじゃないけど。俺が一緒にいないことが、ユースタス屋を不安にさせるなら。
でも、彼は首を横に振った。


「一つになんかなりたくねえ。お前のこと抱きしめてそこにいるって確かめられないなら、何の意味もないだろ」


額に今度は触れるだけのキス。
少し笑ってくれたけど、なんでまだそんな顔なのかなあ。俺はここにいるのに。
お前をおいて、どこにも行ったりしない。
だから、そんな悲しそうな顔をしないでほしい。


泣いてもいいから。だから。





きみの涙をぬぐってあげたい


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10000hitリクエストをしてくれたのあちゃんへ!
「ヤンデレキッドさまでキドロ」です!
ヤンデレの意味をネットで調べましたが、見事に雰囲気しか分からなかった件(お前)
ヤンデレ…てるかな??(聞くな)もっと病んでた方がよかったのかしら。
しかし、ヤンデレなのに結局らぶらぶじゃんこいつら!っていうのがorange canoneクオリティです^^^^;
大好きすぎてどうしようもなくって、ちょっと切ない感じ…が伝わればいいな!
リクエストどうもありがとうm(_ _)m
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