01  




私とジョナサン様は幼馴染みだった。
といっても、私はここの使用人の娘で
ジョナサン様と歳も近いことから、他の使用人と比べてよくジョナサン様と会話するだけ。

ある日、ジョナサン様が木の上でつまらなそうにチョコレートを齧っている姿を見かけた。
どうしたのかな、という気持ちより
今は彼の身の危険が心配だ、運動神経がいいとはいえ万が一木から落ちてしまったらと思うと落ち着いてはいられない

「ジョナサン様ー!そんな所に居られては危ないです!」

口に手を当て大きな声で木の上にいるジョナサン様に聞こえるように呼ぶと、つまらなそうな顔から一変し、太陽のような笑顔を向けてくれる。
木の上から慣れた風に飛び降りて、危ない。と思った頃には既に私のそばまで着地していた。

「危ないですよ。ジョナサン様」
「名前…いい加減その言葉遣いやめておくれよ」
「いいえ。私は使用人の身分ですから…
それより、そんな所でしょげてどうしたのですか」

ここの所ジョナサン様に元気がない。
彼のプライベートは、お屋敷にこもって仕事をしている私には知るよしもない。
しょげていた理由を聞いても何だか言いにくそうにしている。

「私には言えないことですか?」

ジョナサン様の口についているチョコレートをハンカチで拭き取りながら聞いてみる
観念した様子で遠慮気味に口を開く。

「何だか僕、ディオに好かれていないみたいなんだ。」
「ディオ様…ですか。」

ついこの間連れてこられた養子のディオ様。
養子ということからよく思わない人もいるが。整った容姿に恵まれた才能、おまけに人柄もいい…らしい。
すれ違ったら挨拶くらいはするのだが、すれ違う度に彼は私を見下すような目をする。

「私も好かれてないですね。そういえば」
「そういえばって…。悲しくはないのかい?」
「まぁ、私は使用人という立場ですし。あまり好かれる必要はないかと」
「君は強いなぁ…」

私はそういうのは気にしないが、ジョナサン様は優しいお方だ。やはり傷ついたり、なにかしたかなと不安になるのだろう。何より兄弟だ、一緒にいる時間が長いしストレスも貯まるに違いない

「…また、何かあったら私に相談してください。何もできないですが…」
「ううん。聞いてもらっただけで随分楽になったよ、ありがとう」

それでは、とスカートをの裾を摘んで礼をして仕事に戻った。


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