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小さい頃から頻繁に見る夢があった。

古風とも近代的ともいえない世界で黒い制服を着た男女が幸せそうに暮らしていて、でも、その幸せは長くは続かなくて。血まみれになった男を抱きしめ女は泣き続ける。そして静かに息を引き取った男を見て女は絶望に暮れ、自らもその命を終わらせるのだ。

―――なんて悲しい夢。


この夢を見た日は必ず涙があふれた。小さい頃には理解できなかった悲しみが、年を取るにつれて理解できるようになって、この絶望に暮れる女性の気持ちが痛いほど伝わって来て。こんな悲しい結末を迎えなければならなかったなんて、…いつまでも幸せが続けばよかったのに。

今朝も夢を見た。
今日から社会人になる私は急いで涙を拭って顔を洗い、朝食と化粧と着替えを済ませ会社へと向かうのであった。

「えー今日から新しくわが部署の仲間になる子たちだ!みんなよろしく頼むぞ!」

部長の近藤さんは豪快に笑う素敵な男性だった。同期らしい沖田君は近藤さんと知り合いみたいで、すぐに同じ部署の人たちと親睦を深めているようだった。

「おい、」

「はい」

「俺のことは総悟でいいからナマエって呼んでも良いかィ?」

「はい、よろしくお願いします」

「同い年なんだろィ?敬語もいらねェや」

「う、うん。総悟君」

「んじゃ、俺の席あっちだから」

「うん」

総悟君と別れて私も自席へと向かう。

私の席の右隣には男性がいた。左には誰もいない。

「あの、今日からこの部署に配属になりましたナマエといいます」

「あぁ‥俺は土方十四郎だ。よろしくな」

「!」

そう言って顔を上げた男性、土方さん。私は彼を見て驚きを隠すことが出来なかった。


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