銀ちゃんたちと別れて屯所までの道を歩いていると、市中見回りの途中らしい十四郎さんと山崎と遭遇した。
「十四郎さーん!山崎ー!お疲れ様」
「あ、名前〜どうしたの?」
「用事済ませた帰りだよ。見回りはもう終わり?」
「ああ。今から帰るところだ」
「一緒に帰って良い?」
「勿論だよ、って痛い痛い痛い痛い!なんですか副長!」
「何が勿論だよ空気読めよ山崎。あ、煙草切れそうなんだったー」
「わかりましたよもう!買って帰りますよ!ごゆっくり!」
「十四郎さん、山崎になんか悪いことしちゃったね」
「たまには良いだろ」
十四郎さんは一応制服を着ているわけだし、手を繋いで堂々と歩くわけにもいかないのでゆっくりと隣を歩く。口には出さないけど、十四郎さんは気を張っていてピリピリしている。こういう日常の中であってもいつ命を狙われるかわからないから、私達はこういう世界にいるのだ。
「今日は何してたんだ?」
「万事屋一行とファミレスでお喋りしてた」
「は?」
「神楽ちゃんが子供の名前考えたって言ってくれて」
「いやいやいや、俺らの子供だろ。俺らがつけるっつーの」
「だから今回は気持ちだけ受け取って来たよ」
「…色んな奴に望まれて生まれるってのは幸せなことだな」
「そうですね」
屯所に着いた時にはもう夕暮れ時だった。十四郎さんのジャケットを受け取りハンガーにかけていると、後ろからギュッと抱きしめられた。…なんだか様子が変だ
「…十四郎さん?」
「なぁ、」
「はい」
「ちゃんと、守るからな」
「?」
「お前も、腹の子も、俺が守る」
「はい」
「やっぱり幸せにしてやるなんて大それたこと言えねェけど、」
十四郎さんが不意に言葉を詰まらせたので、私は腕の中で向き直り、十四郎さんの腰に腕をまわした。
「この腹のガキは、俺たちの子供は…俺たちだけじゃなくて色んな奴らから望まれて生まれてくるんだな」
「そうですね」
「…この子だけは幸せにしてやりてェ」
「勿論です」
「寂しい思いはさせねェから」
「…十四郎さん、」
昔、一度だけ局長から十四郎さんの生い立ちについて聞いたことがある。この人は小さい頃から孤独と不安と闘ってきたんだ。人一倍、愛にあふれた家族を夢見ているのかもしれない。
「十四郎さん、私はもう十分幸せです」
「…」
「十四郎さんは?」
「・・・俺もだ」
「だったらこの子もきっと幸せになれます。ね?」
「当たり前だ」
十四郎さんは私の唇にチュッとキスをすると部屋の外へ出て行った。
「あ、名前」
と、思ったら戻って来て私に小さな箱をポンと投げた。
「これやるからハメとけ」
箱を開くと名前が刻まれたシンプルな指輪がひとつ。え、これってお互いにつけ合いっこするもんじゃないの?とか思いつつ、十四郎さんの照れ隠しがかわいらしくてニヤニヤが止まらなかった。
後で確認したところ、十四郎さんは指輪にチェーンをつけて首から下げていました。おそろいらしい…!
「十四郎さーん!山崎ー!お疲れ様」
「あ、名前〜どうしたの?」
「用事済ませた帰りだよ。見回りはもう終わり?」
「ああ。今から帰るところだ」
「一緒に帰って良い?」
「勿論だよ、って痛い痛い痛い痛い!なんですか副長!」
「何が勿論だよ空気読めよ山崎。あ、煙草切れそうなんだったー」
「わかりましたよもう!買って帰りますよ!ごゆっくり!」
「十四郎さん、山崎になんか悪いことしちゃったね」
「たまには良いだろ」
十四郎さんは一応制服を着ているわけだし、手を繋いで堂々と歩くわけにもいかないのでゆっくりと隣を歩く。口には出さないけど、十四郎さんは気を張っていてピリピリしている。こういう日常の中であってもいつ命を狙われるかわからないから、私達はこういう世界にいるのだ。
「今日は何してたんだ?」
「万事屋一行とファミレスでお喋りしてた」
「は?」
「神楽ちゃんが子供の名前考えたって言ってくれて」
「いやいやいや、俺らの子供だろ。俺らがつけるっつーの」
「だから今回は気持ちだけ受け取って来たよ」
「…色んな奴に望まれて生まれるってのは幸せなことだな」
「そうですね」
屯所に着いた時にはもう夕暮れ時だった。十四郎さんのジャケットを受け取りハンガーにかけていると、後ろからギュッと抱きしめられた。…なんだか様子が変だ
「…十四郎さん?」
「なぁ、」
「はい」
「ちゃんと、守るからな」
「?」
「お前も、腹の子も、俺が守る」
「はい」
「やっぱり幸せにしてやるなんて大それたこと言えねェけど、」
十四郎さんが不意に言葉を詰まらせたので、私は腕の中で向き直り、十四郎さんの腰に腕をまわした。
「この腹のガキは、俺たちの子供は…俺たちだけじゃなくて色んな奴らから望まれて生まれてくるんだな」
「そうですね」
「…この子だけは幸せにしてやりてェ」
「勿論です」
「寂しい思いはさせねェから」
「…十四郎さん、」
昔、一度だけ局長から十四郎さんの生い立ちについて聞いたことがある。この人は小さい頃から孤独と不安と闘ってきたんだ。人一倍、愛にあふれた家族を夢見ているのかもしれない。
「十四郎さん、私はもう十分幸せです」
「…」
「十四郎さんは?」
「・・・俺もだ」
「だったらこの子もきっと幸せになれます。ね?」
「当たり前だ」
十四郎さんは私の唇にチュッとキスをすると部屋の外へ出て行った。
「あ、名前」
と、思ったら戻って来て私に小さな箱をポンと投げた。
「これやるからハメとけ」
箱を開くと名前が刻まれたシンプルな指輪がひとつ。え、これってお互いにつけ合いっこするもんじゃないの?とか思いつつ、十四郎さんの照れ隠しがかわいらしくてニヤニヤが止まらなかった。
後で確認したところ、十四郎さんは指輪にチェーンをつけて首から下げていました。おそろいらしい…!