06

あぁお母さん怖いよぉー…いつ襲われるかっていう恐怖よりもこの夜道を一人歩きっていう…なんていうかね?霊的な?霊的な何かへの恐怖?うわーマジ怖ェ。

――ポチャン、

「ギャッ!」

(どうした!)

「あ、すんません。カエルに驚いただけです」

(ビビらせんじゃねェよクソ)

はいはいっていうか今の声原田隊長(ハゲ)の声だったな。クッソーあのハゲめ。今度見かけたらハゲ頭に落書きしてやる。

「もしもーし」

(こちら沖田)

「前方に人を発見いたしました」

(男か)

「男性ですけど…おじいちゃんですね。大丈夫だと思います」

(警戒しとけよ)

沖田隊長との無線を一度切って歩みを進める。すると、おじいちゃんに話しかけられました。

「お嬢さん、こんな時間に一人歩きは危ないよ、最近物騒だからねぇ」

「そうですね、気を付けます。ご忠告ありがとうございます」

「いくらこんな爺だからって安心しなさんな、」

「え?」

おじいさんとの会話に気を取られていると背後に人の気配がして、振り向く間もなく薬品をかがされた。やばい、意識が…っ…!

「誰か…っ」

(名前!?)

「ふく、ちょ…っ」

(おい!名前!)

「こんなもん持ってたって無駄だよ」

無線から聞こえる副長の声に何とか応えようとすれば、無線を奪われ傍にあった川に投げ捨てられた。

「この日が来るのを待っていました。真選組副長補佐さん、」

そう言って笑ったのはおじいさんなんかではなかった。意識が飛ぶ直前に見たのはニヤりと笑う若い男。変装してたのか…一生の不覚…。副長、ごめんなさい。


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