「ハァハァ…っ」
−−また、夢を見た。俺に写輪眼を託し死んでいったオビトに、何があっても守ると約束したリンの体を自らの雷切で貫いた、あの時の夢を。
「クソッ」
ナルト達を受け持つことになってから段々見なくなっていた夢なのにどうして今更。今度は何に怯えているんだ俺は。
「カカシ?」
「名前、」
隣で眠っていた名前も、俺が起き上がったことで目を覚ましてしまった。やっとできた俺の大切な人だ。何があっても守りたい。守らなければならない大切な人。そうか、俺は名前を失うことに怯えているのだ。
「すまない。起こしてしまったね」
「どうかしたの?」
「昔の夢を…」
「ああ、例の…」
情けない。立ち直ると決めたはずなのに。隣で心配そうに俺を見つめる名前を抱きしめる。
「名前、愛してるよ」
「急にどうしたの」
「ううん、伝えたくなっただけさ」
「私も愛してる」
名前はふふふと笑って俺の唇に自身の唇を押し当てた。何とも愛らしいキスだ。
「そんな可愛いのじゃ足りないよ」
「え?んんっ…あ…っ」
名前に触れていると、俺自身が生きていることを実感できる。オビトが、リンが託してくれた俺の命。
「ハァハァ、もう、」
「名前が可愛いのがイケナイんだよ」
「いけなくない!」
「ハハ!ごめんごめん」
「もう、心配したのに」
「ごめんよ」
「あのさ、カカシの過去は無かったことには出来ないけどさ、それでもこうやって生きてるんだから、前見て生きていかなきゃ」
「…そうだネ」
「忍でもない私が偉そうなこといえないけど…カカシは人より辛い思いしてる分、人より強いんだと思うよ」
「ありがとう」
俺は何度こいつの笑顔に救われて来たのだろう。ミナト先生もクシナさんをこんな気持ちで見ていたのだろうか。先生は、守るべきものがあったからあんなにも強くいられたんだろうか。
「名前、」
「ん?なに?」
「結婚しようか」
「え?」
「ダメ?」
「ダメじゃないけど」
「じゃあしよう」
「はい」
「決まりダネ」
いつか、ミナト先生が夢見たような家族が出来るといいな。何があっても君を守るよ。
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