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火の意志

「名前さん、カカシ先生が入院したっスよ」

任務帰りらしいシカマルくんがわざわざ教えに来てくれた。入院だからといって別段焦るわけでもなく、いつもの入院セットを準備して病院へ向かうことにした。

「カカシ?入るよ」
「あ、名前」

ベッドの上でグッタリしているカカシ。今回の相手も写輪眼を酷使しないといけないような相手だったのだろうか。テキパキと入院セットをバラして着替えなどをしまっていく私を見てカカシは笑う。

「もう随分と慣れたもんだネ」
「何度目かわからないくらいだもん」
「そうだね。いつもすまない」
「ううん。みんながね、カカシが入院したって知らせに来てくれる時いつも安心するの。ちゃんと生きて帰って来てくれたって。」
「こんな情けない格好なのに」
「まあ元気に帰って来てくれるのが1番なんだけどね。」

天才とうたわれ、危険な任務を数多く請け負うカカシには無理な話かもしれない。私は忍ではないから実際にカカシがどんな命の危険に晒されているか理解できていない部分がある。だからこそ恐ろしいのだが。いくら情けない姿であってもこうして生きて帰って来てくれるだけで幸せなのだ。

「名前、ちょいちょい」
「ん?」
「いいからこっちにきて」
「どうしたの?」
「はあー、落ち着く」
「誰かきちゃうよ」
「いいじゃない、久しぶりなんだし」

手招きをされ近寄ると控え目に抱きしめられた。お疲れ様、の意味を込めて頬にキスすると深い深いキスを返された。

「んっ!……ばか!」
「こんな形で帰ってくると名前としばらくセックスできないのが困る」
「これに懲りたら無理しないことね」
「里の為にも若い世代の為にもそれは無理な相談だなー」
「・・・知ってる」

私のカカシであって、私だけのカカシではない。火の意思を継ぐものとして、忍の誇りを常に持っているカカシはいつも死と隣り合わせだ。

「カカシ…」
「今回はいつもより早く帰れる気がする」
「うん」
「早く名前のご飯が食べたいナ」
「美味しいもの作って待ってる」
「あー、セックスしたい」
「さっきからそればっかり」
「子供作らない?」
「急にどうしたの?」
「お互いにいい年齢だしさ。子供がいたら名前も少しは寂しくないかな、って」
「そうね、カカシとの子供かあ…楽しみかも」
「俺も」

しばらく抱き合っているとノックが聞こえたので体を離した。入ってきたのは綱手様だ。

「いつもすみません。綱手様。」
「わかっているなら無茶するな。名前が心労で倒れてしまうぞ」
「気をつけます。一つお聞きしてもいいですか?」
「なんだ」
「いつ退院できます?名前と子供を作りたいんですけど」
「名前、前回の月経はいつだ」
「一昨日終わりました」
「だとすれば…次の排卵日には間に合うだろう。カカシ、きちんと狙えよ」
「ははっ。そうですね」
「綱手様もカカシも…!」
「まだまだ若いんだ、励めよ!」

綱手様は豪快に笑って病室を後にした。カカシの退院後はなんだか恐ろしいことになりそうな予感。

「覚悟しててよネ」

しばらく眠れない夜が続きそうだ。


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