−−−コン、コン、
真夜中控え目なノックが聞こえて目を覚ましドアを開けると、やあ、と右手を上げるカカシがいた。
「ん…任務お疲れ様です」
「起こしちゃってごめん」
「大丈夫」
寝惚け眼をこすりながらそう言うと、カカシは困ったように笑った。
カカシは長期任務に出ていたのだ。大体の帰る日は聞いていたが少し予定が早まったらしい。完全に不意打ちだった。
「お風呂、入るでしょ?」
「うん。でもその前に」
チュ、と私の唇にキスを落としたカカシはイタズラな笑みを浮かべながら風呂場へ向かった。
シャワーを浴びるカカシに磨りガラス越しに話かける。ご飯は食べるのかどうか尋ねれば、今はいいかな、と返ってきたので私は部屋に戻りボーッとしながらカカシが上がるのを待った。
しばらくして、上半身裸のカカシが首にタオルをかけて私の隣に座った。絵になる男だ。
「ごめんね、顔を見たらすぐに帰るつもりだったんだけど・・・」
「私も会えて嬉しいから気にしないで」
少なくともあと一週間は会えないと思っていたので真夜中の予想外の来訪はとても喜ばしいものだった。
「怪我はない?」
「うん。全く問題ないよ」
「良かった」
「名前こそ、俺がいない間に何もなかった?」
「うん」
「良かった良かった」
カカシはそういって私の頭を撫でるのだ。笑うとキュッと口角のあがるカカシ。この口元を見ることができるのはきっと私だけなんだろう。
「カカシ、好きよ」
「ああ、俺もだ」
私はいつでもカカシの帰る場所でありたいと思う。
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