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睦物語

最近…政宗様が真面目だ。いや、それ自体は物凄く良いことではあるのだが…。

政宗様は若くして一国の主となられた。さすがにお若いだけあって血の気が盛んで、戦が好きなお方だ。もちろん戦自体が良いことではないのは重々承知しておられるし、戦に民を巻き込みたくないと優しい心を持っておられる。政宗様は強いお方だ、それは心身ともに。

戦が始まるとそれはもう子供のように嬉々として出て行くくせに城での仕事はからっきしである。書きものはつまんねー、といつも何かと理由をつけて剣の稽古ばかりだ。そんな政宗様が今日は珍しく自室に籠って仕事をしていると成実に聞いて驚いた俺は政宗様の部屋へと向かった。嬉しさ半分、嫌な予感半分、だ。

「政宗様、小十郎でございます」
「あぁ、」

………嫌な予感は当たるもの。確かに仕事をしてはいるのだが…問題はその姿勢である。

「…名前様、何故そこにおられるのですか」
「Ah…こいつにここに来いと命じたのは俺だ。こいつを怒るんじゃねェぞ」
「政宗、まだ?」
「ちょっと黙ってなhoney、もうちょっとだから」

政宗様と奥方の名前様は最近夫婦となられたばかりだ。政略結婚は当たり前のこの時代に好き合って夫婦となられた珍しいお二人だ。お二人は仲睦まじく…仲睦ま過ぎて夫婦となってたった一ヶ月で子をもうける始末だ。いや、仲が良いことも子が出来たことも大変嬉しいことだ。だが良すぎるのはいかがなものか。

名前様は政務に励まれる政宗様の膝に跨り、政宗様の肩に頭を預け政宗様の髪の毛を楽しそうに弄っておられる。政宗様は…筆を持っていないほうの手で名前様の腰を抱いている。そして時折目を合わせ接吻と来た。…見慣れているのだが一国の主がこうも不抜けた様子を見せるのは、と一抹の不安を覚える。

「perfect!終わったぜ小十郎。さっさとこの書を武田のおっさんに届けてくれ」
「了解いたしました。政宗様、この後のご予定は…」
「名前とsexに決まっ「なりませぬ」…なんでだよ」
「腹にはすでに命が宿っておるのですよ」
「わかってるけどよ…俺だって、」
「政宗、」
「ん?なんだhoney、ちゅ」
「一緒にお風呂入ろうよ」
「!…こ、小十郎!湯浴みの用意をさせておけ!」
「(嫌な予感が…)…わかりました」

結局この後風呂場からは名前様の喘ぎ声が響き渡るのである。

「小十郎…!梵のやつひどいよ!絶対俺へのあてつけなんだ!俺だって名前ちゃんみたいな可愛い子と夜伽を…」
「成実、気持ちはわからんでもないが…その一物が大事なら少し口を閉じてな」
「!(こ、怖っ)」

あの二人は…今後も俺を悩ませる最大の敵なんだろう。


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