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届くのに遠い

大きくなったら結婚しようなんて、小さい頃にありがちの口約束を信じているわけではない。だけど簡単に忘れてしまえるほど単純でもないから困ったものだ。日に日にかっこよくなっていく二つ上の政宗を見ながらため息をつく。自分の容姿の良さをアイツはよくわかっている。学校では見る度に違う女を連れていて…わかってる、私のことなんか眼中にないことくらい。

「よっ!またため息?」
「佐助、」
「いい加減諦めて俺様にしときなってー」
「佐助はチャラい」
「え!それ伊達の旦那見ながら俺に言う!?」
「はぁー…」
「それとも真田の旦那みたいに初な方が良いの?」
「いや…あそこまでだと付き合いにくいと思う」
「じゃあ俺でいいじゃん!」
「はいはい、無理。」
「えー…つれないなぁー」

さっきのセリフが佐助の本心じゃないこともわかってる。振り向きもしない政宗を追いかけていても幸せになれないから忠告してくれているだけ。

「それにしても伊達の旦那は何を考えてるんだろうね」
「ん?」
「普通こんなに可愛い幼馴染がいたらほっとかないでしょ?」
「そう?」
「うん。俺様だったら初めてをぜーんぶ奪って結婚までこじつけるね」
「佐助ー」
「なに?」
「結婚しちゃう?」
「え!?」
「冗談だけどさ」
「俺様ビックリしちゃったじゃん!」
「ごめんごめん」

どれだけ時を経ても、心のどこかで期待してる私はバカな女だ。


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