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冬支度

あー寒ィ。腹立つくらい寒ィなチクショー。だいたいこんな時間まで書類の処理をしなきゃなんねーのはあのクソガキのせいなのに、なんで俺だけがこんな寒ィ思いしながら仕事しなきゃなんねーんだ。理不尽すぎるだろ。

そんなことを思いながら、もう何本目かもわからないタバコに手を伸ばしたとき、廊下から名前の声がした。

「土方さん、今よろしいですか?」
「ん?こんな時間にどうした?とりあえず入れよ」
「失礼しま、…あの、開けてもらえます?」

風呂上がりらしい格好をした名前が、大荷物を抱えていたので何事かと思い聞いてみると、炬燵を用意したらしい。

「もうこんな時期で夜は冷えるのに…なかなか床に就くこともできないでしょう?少しでもあったかくして頂けたらと思って。よいしょ、完成!」
「こりゃいいな。ありがてェが…お前こそ風呂上がりにほっつき歩いてたら風邪引いちまうぞ?」
「ご心配には及びませんよ、だってほら」

名前はそういって準備したばかりの炬燵蒲団をめくり、俺の隣に腰を下ろした。そして俺の肩に頭を乗せると嬉しそうに笑っていた。

「確かにこりゃあったけーな」
「二人くっつけばなおのことです。ね?」
「ああ。いいもんだ。ありがとな」
「土方さん、あんまり無理しないでくださいね」
「そうだな。でもその無理のおかげでこんないい思いが出来たんだったら…悪くねェかもな」

結局手を伸ばしただけで火を付けるに至らなかったタバコを元の位置に戻し、自由になった腕で名前の肩を抱くと、名前はますます嬉しそうな顔をした。クソ…可愛いやつ。なんだか顔に熱が集まってきているような気がした。少し暑ィな、うん。

「暖まったから眠くなっちゃいましたね」
「だな。少し休憩するか」

フーッと息を吐いてそのまま後ろに身を倒すと、名前も続いて隣に寝転んだ。腕を伸ばして名前の頭の下に差し込むと俺の胸元にすり寄って来るもんだから、なんだか猫みたいだなと思った。

「このまま眠っちゃいそう…」
「…だな」

向かいあってどちらともなく唇を重ねると、なんとも可愛らしいリップ音がした。……書類進まねェな。


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