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君にハッピーバースデー

日付が変わる前に俺の部屋に来い。

誰もが恐れる真選組鬼の副長・土方十四郎様直々の命令とあれば、怖くて断ることも出来ずに、私は言われるがまま副長の部屋を訪れた。

何かとんでもない仕事を押し付けられるのではないか、そういえば今日も沖田隊長の破壊活動があったから、書類も溜まりにたまっているだろうし…何をやらされるんだろう。怖い。

そんなことを思いながら廊下を歩いていると、あっという間に副長の部屋の前だ。色んな意味でドキドキしてきた。

「副長、失礼します」
「ああ、入れ」

書類と睨めっこしていた副長はそう言って私を一瞬だけ見たあと、再び書類に目を向けた。−−−かれこれ十分。副長は一言も発さずに書類を書き続けているし私は障子のそばで正座をしたままだ。……何故呼ばれたのだろう。

「あ、あの副長…私は何の為に呼ばれたのでしょうか?何かお手伝い出来る仕事があればお手伝い致しますけど…」
「あー…そろそろか…」

副長はそう言ったあと携帯を見つめ小さく5、4、3、2、1と呟いた。

私が頭にはてなマークを浮かべていると副長は「誕生日おめでとう」と、そう言った。

「え?」
「お前今日誕生日だろ」
「あ、そう…ですね。はい」
「俺が一番に言ってやんなきゃと思ってな」
「…ありがとうございます」
「最近構ってやれなくて悪ィ」
「お仕事ですもん」
「お前、明日…いや今日?休みだろ。俺も休み取ったから。お前の好きなとこ付き合う。どっか行きたいとこあるか?」
「え、あ、副長が一緒に居てくれるなら…どこでも良いです」

私がそう言うと副長は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。そんな副長が可愛くて顔を覗き込むと、不意打ちのキスをくらい、今度は私の顔が赤くなる番だった。

「お互い休みだからな…ま、付き合えよ」

粗方片付いた書類をまとめ、机の隅に追いやった副長は獣のような眼で私を見ると、ニヤリと笑って押し倒すのだった。


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