(03:side頭)
(同じくフィーリングでお願いします)







「その対象は」と原点へ帰る。

回された浅黒い腕の脈打つ冷た
さと、吐き出される白い息のぬ
るさは出逢う事無く溶けて行く
。鼻を鳴らして宙へ神経を逸ら
せば好きな蓮の花の香りがした
。それはこの男が好んで掛ける
香だったと要らない情報ばかり
が肥大し背を預ける壁へ質量が
増すような気が、した。
なあ、悲しい事に足りないらし
いこの髄脳をお前は分かってい
ない。何ひとつ解り合えちゃい
ない。如何にしてお前は俺を。
何を以て俺はお前のその香に紛
れる血腥さを。殺すんだ。その
対象は。その訳を。

(知っているか。俺もお前も切
って棄てるに事足りるこの少し
ばかりでかい机上の駒だ。)
お前はそう笑ったがじゃあどう
してこの腕は刀じゃなく駒へ伸
ばされて居る?その気味の悪い
目の餓えはどうして血ではなく
。その、訳は。
その対象は。

絡まり溶ける白を見た後に合わ
せられた口は只この机上と呼ぶ
には育ち過ぎてしまった世界と
やらに喧嘩を売るばかりだろう
。 なあ知っているか。生き急
ぐ振りをするお前は今、呼吸が
俺より幾分、巧い。



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