『あんなこといいな〜でっきたらいいな〜
』
「何、いきなり。」
『あんな夢こんな夢いっぱいあるぅけどぉ
』
ジープの後部座席にごろごろしながら歌うハル。
オレの声が聞こえているにも構わず続きを歌い終えると、ゆっくり起き上がりマイペースに伸びをする。
『ドラえもんがいたらなんでも夢叶うよねー!』
「おまえらの魔法っつーのも似たようなもんだろ。」
『悟浄たちからみたらそっか!』
けらけら笑うハルにオレは何気なく問いかけた。
「もしオレがドラえもんだったらどーすんのよ。」
獣出せば空も飛べるし、炎だって風だって操れる。強いて言えば瞬間移動的なやつか?何とかドアってやつ?
『どら焼きあげるー。』
「………は?」
『知らないの?どら焼きはドラえもんの大好物なんだよ!』
無邪気に笑うハルを、オレは思わず腕の中へと抱きしめた。
てっきり何か道具を出せって言われると思ったから。
むしろそれしか浮かばなかった自分が恥ずかしい。
「可愛い可愛いと思ってはいたけど、やっぱり可愛いなァ。もう天使だよ。」
『何言ってんの?』
「簡単に手玉に取られちゃってるよ。悟浄さん、もうめろめろだよ。」
それから後は天使(兄)にバレたうえ、ぼこぼこにされたのは言わずもがな。
空を自由に飛びたいな
(で、結局はそれなの?)