01


 









『ふわぁー…』

「寝不足?」


大きなアクビをするハルにルーシィが苦笑しながら尋ねる。



『うぅん。疲れちゃって…』

「疲れた…って何かしたの?」

「朝からナツの相手だよ」


うつぶせるハルの代わりに答えるアイスは心底呆れたようすで答えた。

「相手って何の相手ですか?」

「見とけば分かるよ」


ウェンディが首をかしげると同時に物凄い勢いで足音が近づいてくる。





「起きろ、ハル!オレと勝負しろ!!」

「「………え?」」


『もう今日はおしまい』



目を見開くルーシィたちを放って続けるナツ。


「毎回ハルの勝ち逃げじゃねぇか!」

『それはナツが弱いからでしょ?』

「んだとォ!?なら勝負しろ!!」

『だからぁ…』



終わりの見えない会話にルーシィがこそっとアイスに聞いた。


「勝負って…やっぱり」

「勝負は勝負だ」

「……だよね」

自然と苦笑してしまう顔。目の前ではあまりにしつこいナツにハルが静かに笑みを浮かべる。




『…一回本気でやられないとわかんないみたいだねぇ』

「最初から本気で来いよっ!」

『………』

「………」


睨み合う二人にウェンディとシャルルは黙って息を飲む。他の仲間たちはいつものようにげらげらと騒ぎながら、様子をうかがっていた。








そして













『そろそろ諦めて』

「ま…参りました」


ハルは椅子に座り床にめり込むナツを見下ろす。あっという間に決着はついてしまったのだった。



『とりあえずS級になってからにしなよ』


「……ナツが弱いの?ハルが強いの?」

「ナツが弱くてハルが強い」

「言い過ぎだよ、グレイ。てゆうか服着なよ」

「ナツも強いけどハルが強すぎるだけだよ」



ルーシィの問いに即座に答えるグレイをハッピーが制し、アイスが淡々と答えた。


「ナツがあっさりやられるなんて…」

「ハルさん、S級魔導士ですもんね」

「あのエルザと同じな…」

ボソッと呟いたグレイにルーシィがハッとする。



「ね、ねぇ…ハルとエルザならどっちが強いのかしら?」





「「「………」」」


グレイ、ハッピー、アイスは黙りこみ何も答えない。

「ちょ、ちょっと!?」





「エルザが有利よね。水に対する耐性を持った鎧があるもの。」

「ミラさん!?」

カウンターに肘をつくミラジェーンが興味深そうに笑う。


「けど魔力の大きさは断然ハルね。なんたって滅竜魔導士だもん。」

「み、ミラちゃん…」

「大丈夫よ。二人は勝負、なんてそんな馬鹿なことしないわ」



「今遠回しにナツのこと馬鹿って言ったよね」

「仕方ないよ、事実だし」











『何が?』


「「「………」」」



再び黙りこむ三人に代わってミラジェーンはふふっと笑いながらハルに水を出した。






「S級って恐いわね…」

「は、はい…」

「だらしがないわね」

縮こまるルーシィとウェンディをシャルルはいつものように呆れた表情で見上げる。


「S級魔導士って他にどなたがいるんですか?」

ウェンディの問いにルーシィが得意気に話し始めた。









 



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